8月の全国中学軟式野球大会で初優勝した北海道・白老白翔中のエース根本悠楓(3年)が、中学侍ジャパンとして、明日11月1日開幕の「第9回BFA U15アジア野球選手権大会」(静岡)に出場する。全国中学史上初めて決勝で完全試合を達成した左腕は、エース背番号「18」を背負い、4大会ぶりとなる頂点を目指す。

 白老の「完全左腕」がアジアに挑む。夏に道勢26年ぶりの全国制覇に導いた根本は日の丸を背負って挑む大会に「貴重な経験になるので楽しみ」と、待ち切れない様子だ。侍ジャパンU15は10月28日からの直前合宿を行い、大会に向けて準備を進めてきた。

 今回の投手陣6人で唯一のサウスポーだ。日常生活は右が利き手だが、2歳の頃、当然本人には記憶にないが左手でボールを投げ始めた。最速136キロの直球とカーブ、スライダー、チェンジアップ、ツーシームを武器に全国中学決勝では12三振を奪って完全試合を達成した。今春から覚えたツーシームを効果的に使い、大会通じて3試合で21回、被安打3、2失点と活躍した。多彩な変化球を操るが「手先は器用ではないんですけどね。不思議と左投げになって良かった」と照れ笑いを浮かべた。

 ガッチリとした体格は漁港で鍛えられた。祖父矢尻勉さんが漁師だったことから、小学6年時のオフシーズンに手伝い。スケトウダラを網から外し箱に詰め込み運んだ。1箱10~15キロあったことから「意識はしなかったけど自然な筋トレだったかも」。中学では冬期間、練習の合間におにぎり2個を食べ体幹トレを行い、さらにパワーアップした。

 8月に代表の合宿に参加した。自分より球が速い投手、細かいプレーをこなす野手に驚き、刺激を受けた。戻ってからは平均10キロの走り込みを欠かさず、体を作ってきた。優勝メンバーで代表に選ばれたのは根本ただ1人。「入れなかったみんなの分も頑張りたい。自分の力を発揮して、アジアチャンピオンになりたいです」。エースの背番号「18」を誇りに、マウンドに立つ。【西塚祐司】

 ◆根本悠楓(ねもと・はるか)2003年(平15)3月31日、白老町生まれ。白老虎杖浜小1年から虎杖浜タイガースで野球を始める。投手は小学3年から。白老白翔中では3年春と夏に全国大会出場。優勝した夏は決勝で完全試合を達成した。U15日本代表。168センチ、70キロ。左投げ左打ち。O型。家族は両親と妹。

 ◆第9回BFA U15アジア野球選手権大会(11月1~5日、静岡・伊豆市) 日本、台湾、韓国、パキスタン、香港、フィリピンの6の国と地域が出場。総当たり戦の勝ち点方式で順位を決定する。日本は過去、優勝1回、準優勝4回。監督は伊藤将啓氏。元日本ハムの武田勝氏がコーチを務める。