日本ハム中田翔内野手(28)が今季取得した国内フリーエージェント(FA)権を行使せず、残留する意思を固めたことが13日、分かった。シーズン終了後から球団側と話し合いを重ね、結論を出した。今日14日に札幌市内の球団事務所で会見を開き、正式に表明する。今季は不振にあえいだプロ通算177本塁打の大砲は来季、高校通算111本塁打のドラフト1位、早実・清宮幸太郎内野手(18)と共闘しながら巻き返しを期す。

 FA申請期限前日の13日、札幌市内の選手寮を訪れた中田はスッキリとした表情で語り出した。「もう気持ちは決まってます」。明言は避けたが、この日までに国内FA権は行使せずに残留を決断した。10月9日にシーズンが終了後、悩み続けてきた。「この期間、いろいろ考えさせてもらった。もちろん家族とも相談してきた」と約1カ月間、じっくりと考え抜いた末に結論にたどり着いた。

 「必要としているという言葉も頂いた」と残留要請のあったことを認めた。一方で新陳代謝の激しいチーム事情を理解。さらに今季は不振もあり、球団からの条件提示は約8000万円減の年俸2億円(推定)プラス出来高とシビアな内容だったとみられる。大幅なダウン提示に胸中は揺れたものの、入団から10年間を過ごし、日本を代表する4番打者に成長させてくれたチームには恩義、愛着もある。球団からの思いも受け止め、最終的には残留へ心が傾いた。

 これで超大物ルーキーとの共闘も実現する。球団はドラフト会議で清宮を1位指名し、入団は確実な情勢。同じ一塁手の長距離砲が後輩となる。5月に自身が記録した高校通算87本塁打を抜かれた際には「日本ハムに来てくれたら、うれしいですけど」と冗談交じりに話していた。現実となった今、中田が残留することで来季にも一緒にクリーンアップを組む可能性も浮上。夢のタッグがチームの日本一奪回の推進力となるかもしれない。

 今季は故障や打撃不振も重なり、打率2割1分6厘、16本塁打。レギュラーに定着した11年以降では自己ワーストだった。巻き返しへ、今オフは「札幌では出来る練習が限られる」と、実家のある広島や、高校時代を過ごした大阪などでトレーニングを進める。同ポジションの清宮加入も発奮材料にもなる中で下した決断。「後悔はない」と言い切る中田が、気持ちを新たに北の大地で再出発を図る。