<SMBC日本シリーズ2018:広島5-1ソフトバンク>◇第2戦◇28日◇マツダスタジアム
広島バッテリーがソフトバンクの主砲を抑え込んだ。「SMBC日本シリーズ」第2戦は広島が完勝。両軍投手陣が奮闘して引き分けた第1戦を受けた2戦目は先発ジョンソンが好投し、先勝した。息詰まる頂上決戦を広島OB、日米203勝のレジェンド黒田博樹氏(43)が独自の視点で見る「特別観戦記」。黒田氏は「柳田にフルスイングをさせなかった広島バッテリーの勝利だ」とした。
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広島の勝利は4回、ソフトバンク柳田に対する配球にあったと言いたい。広島が3点をリードしていた4回。先発ジョンソンは1番川島に四球を与え、この試合初めての走者を出した。さらに今宮に初安打を許すなどで1死一、三塁の局面を迎えた。
フルスイングが特徴の柳田だがトリプルスリーも達成しているように足が速い。外野フライはもちろん、併殺崩れでも1点が入る場面だ。前日は無安打で、この日もヒットを打っていなかった主砲にここで適時打を許せば、それこそ流れが変わってしまう。欲しいのはズバリ三振だった。
ここでジョンソン-石原の広島バッテリーは柳田の内角をツーシームで攻めた。1球目で見送りストライクを取ると2球目は内角に外れるボールだ。3球目こそつり球で真っすぐを外角高めに外したが4球目はやはりインローへのツーシームだった。
これを柳田はまるでバットに当てにいったようなスイングで空振り。フルスイングが売りの男があんな振りを見せるのは、最後の球がまったく頭になかったことをうかがわせた。そうなったのは1打席目が伏線になったはずだ。
2回の第1打席。先頭で迎えた柳田に外角中心に配球した。カウント3-1から最後は外寄りに逃げるカットボールを投げた。結果は左飛。この攻め方が柳田の頭に“残像”として残っていたはず。だからこそ初めてチャンスで回ってきた4回の打席で内角球への対処ができなかったのではないか。
バッテリーが打者に対する配球とは、打ち取れる確率を上げていく作業だと思う。例えばここでもう1球、内角、あるいは外角に投げておけば打ち取れる確率が50%から70%に上がるはず。そう思えば、それを投げる。もちろん確率100%はない。たまたまでもバットに当たれば、結果がどうなるかは分からないからだ。それでも少しでも確率を上げる作業の積み重ねが重要だ。それがこの日の柳田に対してはうまくいったということだろう。
これで広島の1勝1分け。1戦目が引き分けだったので広島にすれば連勝、ソフトバンクにすれば連敗した気分になるかもしれないが移動日を挟んで、また流れは変わるはず。私が現役だった16年は連勝して札幌に行って、最後は負けている。
この日も5回に鈴木が盗塁を刺されたように機動力を誇る広島がソフトバンクの捕手・甲斐に大きなプレッシャーを与えられているのは事実。3戦目からはDH制でソフトバンクにはシーズンと同じ野球ができる強みもある。広島にとって大きい勝利なのは間違いないがまだ先は分からない。(元広島投手)