大熱戦を制し、ソフトバンクが1勝1敗1分けのタイに戻した。舞台を福岡に移して行われた「SMBC日本シリーズ」第3戦。ソフトバンク打線が大量9得点を奪い、逃げ切った。終盤にセ・リーグ王者の広島に1点差に詰め寄られたが、必死の継投策でリードを守り抜いた。これで本拠地ヤフオクドームで日本シリーズ10連勝。パのチームも本拠地で13連勝となった。得意のホームで今日も連勝だ。
最後は冷や冷やだった。1点リードの9回2死一、三塁。守護神森が野間を一ゴロに仕留め、ようやく工藤監督に笑顔が出た。「ホッとしています。勝ててよかった。(広島の粘りは)すごいと思った」と本音を隠さなかった。
日本シリーズでは絶対的な強さを誇るヤフオクドームで、ソフトバンク打線がようやく爆発した。
序盤は着実に得点を重ねた。4回は四球からつかんだチャンスから、単打を重ね2点先制。5回には内野ゴロ2本で追加点を挙げた。強力打線が地味に加点し流れをつかむと、最後は得意の本塁打攻勢で勝利を引き寄せた。6回、デスパイネが自身日本シリーズ初本塁打となる3ランでリードを広げ、7回には途中出場、今季1本塁打の高谷が右翼テラス席へソロ。広島に1点差まで追い上げられた中、この1発が最後まで効いた。
この日、工藤監督は日本シリーズ出場資格40人のうち、若手の椎野、川瀬以外の38人をヤフオクドームへ集合させた。「状態を見たいということもあって。こっちにいる時はね」と説明。1試合ごとにベンチ入り25人を変更できるルールを最大限に利用した。野手では城所、江川ら、投手陣では中田、寺原、五十嵐らが顔をそろえ、五十嵐がベンチ入りをつかんだ。
ヤフオクドームでは11年第7戦から日本シリーズ10連勝。パ本拠地で、パのチームは13連勝となった。広島での第1、第2戦は寒さにも悩まされた。ナインが「寒くない」と口をそろえるドームで3時間57分の熱戦を戦い抜いた。登場曲で打席に入れる「地の利」もある。柳田はこの日から、シーズン中に使用していたボートレースのCM曲を第1、第4打席に使用した。スタッフがリクエストに応え、タレント渡辺直美が美声を響かせるCMバージョンを手配。柳田のテンションをアゲるのに一役買っている。
待望の1勝を挙げたが、工藤監督は「ここからが五分なので、しっかりやっていきたい」と気を引き締める。三塁側半分はカープファンに占拠されたが、本拠地ならではの「地の利」で、第4戦、第5戦も白星をつかむ。【石橋隆雄】
▼ソフトバンクが9-8で逃げ切り、1勝1敗1分けのタイに戻した。シリーズで両軍8点以上は04年<3>戦西武10-8中日に次いで2度目。シリーズでは過去4度あった8-7を抜くビッグスコアの1点差試合となった。これでソフトバンクは11年<7>戦から本拠地のヤフオクドームで10連勝。シリーズで同一球場10連勝は、巨人が70年<1>戦~73年<5>戦に後楽園球場でマークして以来、2度目のタイ記録だ。<1>、<2>戦は広島が先制したが、<3>戦はソフトバンクが先取点。ヤフオクドームでは11年<7>戦から10試合すべて先制して勝っている。