4番が意地の1発-。広島鈴木誠也外野手(24)が、4回にソフトバンク東浜から左中間席に2戦連発となるソロを放った。先制点を奪われた直後の1発で反撃。今シリーズ3本塁打と好調をキープするも、すべてソロと複数得点に結びつかず、広島打線は4安打と沈黙した。敵地ヤフオクドームで連敗を喫し、1勝2敗1分けとなった。

4番のシリーズ3号も、空砲に終わった。2点を先制された直後の4回。鈴木はソフトバンク先発東浜の浮いた144キロ直球に反応した。完璧に捉えた打球は左中間スタンドへ一直線。前日の2本塁打に続く、2戦連発で静まり返っていた福岡の広島ファンを盛り上げた。劣勢で意地を見せる1発も、反撃ののろしとはならなかった。広島打線はソフトバンク投手陣に4安打に抑えられ、敵地で痛い連敗を喫した。

1回は2死二塁から内角真っすぐに手が出ず、見逃し三振に倒れた。先制機を逃した悔しさを次の打席にぶつけた。前日は6点ビハインドとなった直後に1発を放つ反発力。この日も先制点を許した直後に生まれた。「狙ってはいない。塁に出ることしか考えていなかった」。広島4番としての意地の1発だった。

CSファイナルステージは初戦に本塁打を放ったが「今の僕にはあれ(変化球待ちで)しか打てない。でも短期決戦なので結果が出れば…」ともらした。本調子とはほど遠く、3試合で1安打、打率1割2分5厘に終わった。CSから日本シリーズ開幕まで、不振の原因となっていた直球の対応を磨いた。

日本シリーズ初戦、球界を代表する千賀の真っすぐに振り負けなかった。「試合前練習から良かった。いけると思う」。5打数2安打という数字以上の収穫があった。前日の連弾を含め3本塁打はいずれも真っすぐを捉えたもの。直球だけでなく、変化球にも対応でき、見逃すこともできている。「考えすぎず、シンプルに決めを持って(打席に)入れている」。シリーズ3発で、東出打撃コーチが「打ち出すと手が付けられない」と言う“ゾーン”に入っている。劣勢に立たされたチームを若き4番がバットで鼓舞し続ける。【前原淳】