広島新井貴浩内野手が現役生活を終えた。9月に今季限りでの引退を表明。以後も日本シリーズまで登録を外れることなく、主に代打として、最後まで第一線で戦った。

現役最終戦も代打だった。0-2の8回先頭。武田の前に遊ゴロに倒れた。最後の打席になる可能性もあったが、まだ戦いの途中。場内の大きな拍手に対しても、少し笑みを浮かべただけだった。そのまま9回表の一塁守備にもつき、試合終了の瞬間はベンチで迎えた。日本一に届かないままユニホームを脱ぐことになった。

「もちろん悔しさもあるが、それ以上にみんなにありがとうという気持ちが強いです。本当に感謝したい。かわいい後輩たちに、ありがとうしかない。日本一には届かなかったけど、シリーズ中は選手みんなの必死さがすごく伝わってきた」と柔和な表情で話した。

リーグ3連覇が置き土産になった。主力に20代の選手が多い中で、最年長の新井が模範になり、調整役にもなってきた。来年以降は違った形でのチームの成熟が求められる。今後のカープについて聞かれると「いつも言うけど、カープは家族のようなチームと思っている。今、すごく結束している。それを若い選手、2軍で頑張っている選手、これから入って来る選手たちが引き継いでいってほしい」と願いを込めた。

最後には30人近くいた報道陣1人1人を見渡すように「ありがとうございました」と何度も頭を下げ、笑顔を見せた。