【ホノルル(米ハワイ州)2日(日本時間3日)=前原淳】今こそ「広島力」じゃ!! 広島緒方孝市監督(49)が常夏の島で、来季のビジョンを描いた。今オフ、攻守の要だった丸がFAで巨人へ移籍。精神的支柱だったベテラン新井も引退した。戦力ダウンの懸念材料は、広島の武器である育成力でカバーする。血の入れ替えでチームを活性化させ、4連覇を目指す礎を築く。

久しぶりにコーチ陣や選手と顔を合わせた喜びからか、それとも常夏の陽気がそうさせたのか、指揮官はいつもよりも冗舌だった。

緒方監督 主力選手が抜けるのは痛いけど、我々はカープの野球を来年もやる。そうすればおのずと結果はついてくる。丸だけじゃなくて、新井も抜けるし、エルドレッドも抜ける。主力級の選手が抜けたけど、それでもやる野球は変わらない。チームとして戦力はダウンするかもしれないけど、ダウンしたところから、あとはプラスの上積みしかない。

前年のチームから主力が抜けても、緒方カープはたくましさを増していった。16年の25年ぶり優勝は大黒柱の前田(ドジャース)がポスティング移籍で抜け、連覇した17年は現役引退の黒田氏を欠いていた。それでも連覇し、3連覇を成し遂げるチームに成長した。

ポスト丸は来季への課題の1つとなるだろう。「(3番には)足を使える選手を入れてもいいし、大きいのを打てる選手を入れてもいいわけだし。形にこだわらない」。広島の野球を続けることは、同じようなオーダーを組むことを意味するわけではない。ただ丸のポジションだけを埋めればいいわけではなく、スタメンの並びを大きく変えるくらいの変化を求めている。 若い力が活性剤となることで、チーム力は底上げされる。「1年でガラッとチームが変わるようなチームじゃない」。オフに大型補強で戦力アップを望めないのであれば、育てるしかない。監督就任から4年、チームに凡事徹底をたたき込み、目指す野球を植え付けてきた。そのスタイルは5年目の来季も変わらない。「1試合ずつ戦いながら成長していくか、どういう形を作れるか。作れなければ私の責任」。目標は4連覇、そして日本一。チームを指揮する緒方監督が、誰よりも広島の力を信じている。【前原淳】