阪神大山悠輔内野手(24)がソフトバンクとのオープン戦(ヤフオクドーム)で待望の1発を放った。初回に1号2ランを放ち、笑顔でダイヤモンドを1周。その後はHランプをともすことはなかったが、矢野監督、浜中打撃コーチも納得する打席内容だった。若き和製大砲候補が状態を上げて、猛虎打線の火付け役となる。

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大山がコンパクトにすくい上げた。初回だ。2死二塁。ソフトバンク先発ミランダの145キロ直球を強振すると、ドームに打球音が響いた。左中間のホームランテラスに飛び込んだ今季1号は、力みのないバット軌道から生まれた。

「ミスショットせずに、一発で捉えられたのが良かった。(春季キャンプから)修正した部分はある。でも打席に立てば(目の前の)ボールに集中するだけ。試合になったら、しっかりと自分のことをやるだけです」

4番候補と期待されながら前日2日までの実戦9試合で打率は2割1分4厘だった。今回の福岡遠征の前に、指揮官は「(4番を)与えられるようなチーム状況ではない。ナバーロもいいしってなったらマルテがサードもあり得る。他の選手がサードもあり得るわけだから」と奮起を求めるシーンもあった。

和製大砲候補が放った待望の1発に、矢野監督は「結果が出ないと本人も不安。(首脳陣も)結果を含めての判断になってしまうので」と喜びの表情。さらに「ああいうふうに1本打てて。その後の打席の内容も。今までの中で一番全体的に良かった。(4番は)得点圏で回ってくるんでね。まだ自分なりの課題を持ちながらやっていってくれたらいい」と復調の兆しをみているようだ。

指揮官は凡退の打席も一定の評価を与えたが、本人は謙虚だった。「1本ではダメ。次の打席からもしっかりやっていかないと」。5回には2死満塁で打席が巡ってきたが一ゴロに倒れていた。それでも浜中打撃コーチは「バットの出方はいい。(結果は)紙一重だからね。これを続けてほしい」と信頼を置いた。

「3」の並ぶ日に飛び出した1発。3年目を迎えた背番号3が、3月3日の号砲を忘れず、19年シーズンを突き進む。【真柴健】