毎週火曜日の企画、第4週は2軍で奮闘中の阪神ナインにスポットを当てる「鳴尾浜便り」です。第1回は育成ドラフト1位で入団した片山雄哉捕手(24=BC・福井)です。

2軍で4番を任されるなど17試合に出場して打率2割6分8厘、チームトップタイの3本塁打と存在感を示しています。早期の支配下選手登録へ-。その心境に迫ります。【取材・構成=真柴健】

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鳴尾浜の室内で、黙々とバットを振る。試合日でも休日でも、片山には関係ない。3桁の背番号を2桁にするために-。手にできた硬いマメが必死さを物語っている。

「信頼されるには、野球に対する姿勢から。その気持ちを持ってやっていきたい」

2軍戦は24試合のうち17試合に出場。打率2割6分8厘で、3本塁打は江越と並んでチーム最多。自慢の長打力を披露できている。「ここからは確実性や勝負強さが大切になる。ただ、自分が一番大事にしているのは『信頼』です。こいつがキャッチャーなら安心できるとか、4番を任せられるとかですね」。4月5日、ウエスタン・リーグのソフトバンク戦(鳴尾浜)では初めて「4番捕手」で起用された。

「4番を打たせてもらえることはアピールにもなる。そこで結果を出せば、良い評価をしてもらえることもある。自分は結果を出さないといけない立場なので。結果を出さないと、この世界では生きていけない」

春季2軍キャンプでは片山にMVPの評価を与えた平田2軍監督もここまでの道のりにニッコリだ。「自分の実力でね。結果を残して勝ち取った4番だから。片山みたいに背番号3桁の選手が頑張ってると心が動かされるね」。4月中旬には鳴尾浜に矢野監督が視察に訪れた。「122番」の躍動も目に入っただろう。1日も早い支配下選手登録を目指している。

どこまでも貪欲だ。現時点での打点は7。やや物足りない数字に「点が欲しいところで打てないと、やっぱり意味がない。結局は、試合が決まったところで打ってもダメなんです。そういう意識を持っていないと(1軍には)上がれないんです」と勝負強さの向上が必要だと感じている。

2桁の背番号をつかむ片山の挑戦は続いていく。

◆片山雄哉(かたやま・ゆうや)1994年(平6)6月18日、愛知・安城市生まれ。桜町小3年から横山北ソフトボールでソフトボールを始める。安城南中では軟式野球部で捕手。刈谷工では甲子園出場なし。至学館大短大を中退し、15年にBC・福井へ。18年育成ドラフト1位で阪神に入団。177センチ、83キロ。右投げ左打ち。