ヤクルト小川泰弘投手の右足が、高々と舞い上がった。ようやく本来の投球動作が戻ってきた。初勝利から7試合、約1カ月半ぶりの白星だ。

勝利から遠ざかった期間、躍動感あふれるフォームを取り戻そうと必死だった。「腰のキレが出ない。出そうと思っても出ないもの」。投球練習を増やし、左足にしっかり体重が乗らなければ、低めに投げられない傾向を発見した。「今日のこの感覚を忘れないようにしたい」とかみしめた。

アクシデントに見舞われた。初回、ソフトバンク1番福田の打球が右足の付け根を直撃。それでも「一喜一憂しない」と冷静にマウンドに立ち3者凡退。中盤以降は力みが抜け、カーブやスライダーを効果的に織り交ぜた。5回1死二、三塁のピンチで脳裏をよぎったのは、石川からのアドバイス。「結局、自分で乗り越えないとね」。目の前に訪れた試練で、福田、今宮を連続三振。「自分のフォームで、低めに投げることができた」。7回2失点。この2勝目は大きい。【保坂恭子】