ついに貯金を使い果たした。広島が引き分けをはさんで今季最長の6連敗となり、最大14あった貯金が0となった。菊池涼介内野手(29)を1番に置き、西川龍馬内野手(24)、アレハンドロ・メヒア内野手(26)と並べる改造打線が機能せず、1番から3番まで無安打。10試合連続3得点以内にとどまっている。首位とのゲーム差は今季最大に並ぶ7。どん底の4月を乗り越えた王者が、それ以上の正念場を迎えている。

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帰りのバスへと続く通路で、緒方監督が言葉を絞りだした。「チャンスをつくってないことはないんだけどね。打線はいろいろ考えてやっているけど、やっぱり点にならないから、しっくりこない。つながらないというかね…」。奪った得点は、8番田中広の犠飛による1点のみ。エース格の大瀬良を立て必勝態勢のはずが、4安打では勝てない。引き分けをはさみ、今季最長の6連敗となった。

苦心の打線が機能しなかった。4日ヤクルト戦で、不動の2番打者・菊池涼を4年ぶりに1番で起用。緒方監督は開幕直後「打線はグルグル回すが、変えない打順があるとするなら2番菊池涼と4番鈴木」と話していた。その一角を、苦渋の決断で崩した。2番に西川、3番にメヒアを置く改造打線。2戦目のこの日、3番まで無安打というのはあまりに皮肉だった。

どん底から立ち直ったはずだった。4月は開幕5カード連続で負け越し、首位に最大7ゲーム差の最下位に沈んだ。そこから巻き返し、5月は20勝4敗1分けの球団新記録で首位に立った。だが歴史的快進撃の反動なのか、各打者がそろって調子を落とす。野間が1番で固まっていた打線も解体を余儀なくされ、交流戦は最下位。ここ10試合連続で、3得点以下と打線は湿ったままだ。リーグ戦再開後も勝ち星がなく、ついに貯金をすべてはき出した。

首位とのゲーム差は今季最大タイの7。4月にどん底を味わったチームが、それ以上の正念場を迎えている。8回2死から二塁打で望みをつないだ鈴木は「がんばるだけです」と前を向いた。緒方監督も「現状、こういう状態なんで、立て直したい」と唇を結んだ。今季最大のピンチ。緒方カープは巻き返せるか。【村野森】