西武の誇る山賊打線が12安打12得点でロッテ投手陣を粉砕し、2年連続23度目のパ・リーグ制覇を果たした。

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最後に締めくくったのは、守護神の増田達至投手だった。9回。マウンドで辻監督から「楽しめよ」と直接ボールを受け取り、締めくくりを託された。最後の打者マーティンを150キロ直球で空振り三振に仕留めると両手を広げ、飛び込んできた捕手森を受け止めた。「楽しめたか分かんないけど、いつも通りマウンドに向かい、いつも通り投げることができた」。冷静だった。

あのたくましさを見ていたら、自然と勇気が湧いてくる。13年に長男が誕生。体重は718グラムだった。低出生体重児として生まれ「本当に小さいんですよね。大丈夫かなって、不安にはなりました。でも僕以上に奥さんが大変ですから。本当に感謝しかありません」。NICU(新生児集中治療室)から2カ月で退院できた。大きく、そしてたくましく育ち、走り回る姿に「僕が元気もらってますよ」。頑張れないはずがなかった。

不本意な数字に終わった昨季。秋季キャンプでフォームから見直した。小野投手コーチから「間がない」と指摘され、軸足に乗せてからのタメを修正。「1、2、3ではなくて、1、2の、3。その間をつくれるようになってから真っすぐが伸びるようになった。もともと球種が少ないタイプ。真っすぐあってのピッチャーなんで」。直球で押しながら、スライダーを曲げ、フォークを落とす。防御率1点台を維持し続け、自己最多30セーブを挙げた。

平井との継投リレーは、山賊の必勝パターン。11日ソフトバンク戦では通算100セーブ目をマークし、今季初の首位浮上に導いた。胴上げ投手になった頼れる選手会長。山賊には心優しき守護神がいる。【栗田成芳】