今季限りで現役引退する日本ハム田中賢介内野手(38)が27日、札幌ドームでの試合前に引退会見を行った。目に涙を浮かべながら周囲への感謝、野球への思いなどを語った。
◇ ◇ ◇
-最後のあいさつ
これまでたくさんの方々の応援があって、ここまで長くやって来られたと思います。本当に感謝しています。まだ、試合が残っていますけれども、最後の1球まで頑張る姿をみなさんにお見せ出来たらいいなと思います。本当に20年間ありがとうございました。
-今の気持ちは
今までプロ生活で寝られないということがなかったんですけど、昨日の夜はちょっと眠れませんでしたね。ちょっと眠たいです。
-引退を表明してから今日まで、どんな思いでプレーしてきたか
今年1年に限っては、今まで応援してくれた方々や支えてくれた方々へ感謝の気持ちを込めてプレーすると決めていた。今までとは違う野球への取り組み方や、野球への気持ち。毎日が充実しつつ、同時に寂しさも日々感じる1年だった。
-周囲からの言葉
ファイターズファンだけでなく、地方球場や福岡、大阪、千葉、東京と違うチームの方々も花束贈呈という形で軽いセレモニーをしてくれたことに感謝しているし、野球ってそういう枠を超えて素晴らしいスポーツだなと改めて実感しました。
-今日、家を出る時に家族からかけられた言葉
子どもが2人いるんですけど、上の子は僕が辞めるのは分かっている。これから(家族との)時間がたくさん出来るので、喜んでいるのかなって思っていたんですけど…。今日の朝、寂しそうな感じだったので、ちょっとぐっと来ました。
-いろいろな人の思いを背負っての20年間
あっという間に過ぎた20年間。僕1人では到底、出来なかったし、たくさんの方々の協力があって感謝しています。
-影響を受けた人
数え切れないほどいる。強いて挙げるのは難しい。場面場面で出会うべくして出会い、その人たちに支えられながらプレーできたのは幸せだった。
-印象に残っている場面
06年の日本シリーズで日本一になったのが、僕の中で一番大きく、幸せな時間だった。それまでの6年間、鎌ケ谷で2軍生活が続く中、やっとレギュラーになれて、なおかつチームも僕が入団当時から改革を進め、実を結んだのが06年だったので。あの時、本当にみんなが北海道に来て良かったなと思いましたし、改めて北海道にファイターズというチームが根づいた瞬間だったと思います。
-北海道とは、どんな場所
最初は右も左も分からずに住み始めたけれど、今となっては僕の故郷みたい。この1カ月、全国で“賢介コール”を聞きながら過ごしたけれど、毎回聞くたびに寂しい思いと、同時に感謝の気持ちになった。みなさんのおかげで、こんなに長くプレーできて、感謝してもしきれない。これからは、後輩たちが僕の思いを継いで、強いファイターズを作ってくれると思う。
-引退セレモニーでは泣いてしまう?
もともと涙腺弱いので、今日も泣いてしまいましたけど、感動して泣いてしまうかも。それも含め、最後に良い姿を見せられたら。
-昨日の夜に考えたこと
自分でも不思議なくらい、何故寝られないのか分からなかった。覚悟はしていたけど、ついに来たんだな、という感情になったのかなと思う。
-後輩への言葉
今年1年、僕が引退を発表したことで、良い面も悪い面もあったと思う。ファイターズは、もっと強いチームになっていかなければならない。僕の思いを、後輩たちが少しでも引き継いでくれたら。
-1500安打
その記録は達成できれば1番だけど、何より今まで応援してくれた方々に、最後に良い姿を見せられるよう僕自身、全力でプレーしたいと思う。
-長いプロ生活で譲らなかったもの
自分の生きる道、自分の道は自分で決めるということ。昔から父に「自分で決めろ」と言われていた。高校に入る時も、アメリカに行く時も自分で決めましたし、辞める時も自分で決めました。
-ファイターズはどんな場所。アメリカへ行く前後で変わったこと
チームの雰囲気はだいぶ変わった。日本のプロ野球ではファイターズしか知らないので、ファイターズが戻る場所だったのかもしれない。
-野球とは
小学2年生から野球を始めて、31年、野球しかしていないので、生活の一部。今後も切っても切れない縁だと思う。体の一部、人生の一部なのかもしれない。
-今後の予定
野球をしない生活を想像出来ないのが、正直なところ。どうなんですか、と逆に聞きたくなる。
-第2の人生で期待、楽しみにしていること
家族との時間。北海道に住みながらあまり地方へ行けなかったので、行ったところのない場所へ一緒に旅行へ行けたら。
-誇れるもの
ないですね。自分で特に良くやったとは思わないし、数字としても悪くはないけど、特別良くもない。ただ、自分がレギュラーで出ているシーズンで、ずっと優勝争いできたのはすごく誇りに思っています。
-今季、決断が揺らいだ瞬間
それはない。そんな中途半端な気持ちで、引退宣言はしていない。覚悟を決めて臨んだシーズンだった。