ニューリーダーの自覚だ。広島田中広輔内野手(30)が3日、マツダスタジアム内の球団事務所で契約交渉を行い、3000万円ダウンの1億5000万円(金額は推定)で更改した。

約1時間に及んだ交渉は、新選手会長としてチームのことに多くの時間を割いた。今季は右膝痛の影響もあり不本意なシーズンとなった。だが、来季はBクラスに終わったチームとともに捲土(けんど)重来を期す。

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入団初のダウン提示にも、納得してサインした。田中広は1億8000万円から20%に迫る3000万円の大幅ダウンも受け入れた。チームは4連覇を逃し、Bクラス。不本意な成績に終わった自身の成績が影響したと痛感している。下を向いて立ち止まっている時間などはなかった。

「(ダウンは)想定内。ちゃんと(年俸を)もらっていましたから。レギュラーとして今年の僕の成績は(チームの順位に)直結している部分も絶対あるので、納得して押させてもらいました」。

主力としての責任を感じている。右膝痛の影響もあり、打撃3部門で自己ワースト。97試合出場もプロ入り最少だった。8月28日には右膝半月板部分切除手術を受けた。「苦しいシーズンではありましたけど、今後の野球人生においては、いい1年だったかなと。じっくりと、いろいろと考えさせられる1年でした」。苦しんだ分、得たものもある。リハビリは最終段階をへて、例年と変わらないオフを過ごす。視界に捉えるのは「1番遊撃」の定位置。「そこを目指してやっていきたい」。再奪取を誓っている。

新たに就任した選手会長としても、前を向かなければいけない。球団と交渉した約1時間の多くはチームのことだった。「チームをいい方向に導ける言動を心掛けたい。佐々岡監督が仰っていた通り、投手と野手の一体感は大事にしながらやっていきたい」。来年はチームの先頭、打線の先頭に立ち、引っ張っていく。【前原淳】(金額は推定)