大先輩のバットで支配下をつかむ。阪神育成ドラフト1位の大商大・小野寺暖外野手(21)が、同大学OBの谷佳知氏(46=野球評論家)のバットを譲り受けたことが5日、分かった。

谷氏はオリックスなどで活躍し、通算1928安打を放った好打者。広い守備範囲と強肩でイチローや田口壮らと鉄壁の外野陣を形成した。そんなポジションも同じレジェンドの用具が、小野寺に巡ってきた。

関東在住の谷氏は、同大学の関東遠征時などで激励に訪れ、15年の現役引退時には野球部に大量のバットを贈った。以後、そのバットは部員らに譲られ、今回は残っていた3本全てが小野寺にプレゼントされた。富山陽一監督が、たくさん振り込んで練習するようにと、熱い激励を込めたものだ。指揮官は「力量は谷さんちゃうけど、バットだけは谷さんのものを持っとけ! という意味を込めました」とうなずいた。

小野寺自身も1日も早い支配下奪取を目指し、無休で練習に励んでいる。大学4年時の休日は2日間だけ。6月の大学選手権と11月の神宮大会で敗れた翌日の移動休日以外の363日は、練習に明け暮れてきた。年末年始も同大学で体を動かし、プロへの準備を整えている。「プロは3勤1休とか休みがあると思うんですけど、支配下になるまでは休みなしでやっていこうと思っています」。

年始は大学1年時から訪れる大阪・箕面市の勝尾寺で活躍を祈願。「勝運の寺」で決意を込め「支配下という壁に勝ちたい」と心を新たにした。谷バットでまずは2桁背番号を目指す。【奥田隼人】

◆小野寺暖(おのでら・だん)1998年(平10)3月17日生まれ、奈良市出身。左京小2年から奈良リトルで野球を始め、平城東中では南都ボーイズに所属。京都翔英で高校通算20本塁打を放つも、甲子園出場はなし。大商大では3年春に18打点、4年春は打率5割で首位打者に輝き、いずれも関西6大学リーグMVP。リーグ戦通算5本塁打。183センチ、82キロ。右投げ右打ち。家族は母と兄。