阪神ドラフト2位の履正社・井上広大外野手(18)はロッテ安田のバットを持ち込み、恩返し弾を誓った。

入寮した若きスラッガー候補の手には、大切に振り込まれた跡が残る木製バットが握られていた。高校2年の年末、2学年先輩の安田が同校で自主トレした際に直接、譲り受けたものだ。

「自分もプロを目指してやっていたので『お前も早く、プロの世界に来いよ』という言葉をかけてもらいながら、いただきました」。あくまでも練習用にと、サインは入っていない。「折れたりしたらイヤ」と家に持ち帰り、素振り専用で使用してきた。愛着のある相棒を「全体練習とかが終わった後に、個人で使えたら」と、プロ入り後も握り続ける。

5日には安田と同校で顔を合わせ「自分の意志を持っておくことが絶対に大事」と、プロの心得を受けた。「追いつけ、追いこせの気持ちで。『パ・リーグは安田さん、セ・リーグは井上』と言われるように。安田さんの前でホームランを打って『ここまで来ました』と、バッティングで伝えたい」と交流戦の再会で恩を返す。

昨年11月に捻挫した右足首の状態も順調に回復。「だいぶ、いい状態ではあるかなと思います」。新人合同自主トレは別メニューのスタートとなるが、徐々にダッシュなどの強度を上げていく予定。打撃に関しては「問題ないです」と、笑顔を見せた。親元を離れ、初めての寮生活も「周りの人に相談しながらやっていきたい」と不安はない。将来の目標であるホームラン王へ、同じく高校の先輩ヤクルト山田からも「自分より体が大きいから、絶対にホームラン王を取れる」と、エールを送られたという。「その言葉を信じて、日々努力していきたい」。先輩たちの背中を追いかけていく。【奥田隼人】