新型コロナウイルス感染から回復した阪神藤浪晋太郎投手(26)が23日、兵庫・西宮市内の球団施設で会見に臨み、外出自粛ムードが高まっていた3月中旬に大人数の会食に参加したことを「非常に軽率でした」と謝罪した。会食参加者では藤浪を含む3選手と女性3人の感染が確認された。藤浪は3月26日深夜に感染が判明し、翌27日に入院。4月7日の退院後は自宅待機を続けていた。同じく感染から回復した伊藤隼太外野手(30)と長坂拳弥捕手(25)も別々に会見した。

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マスク姿の藤浪は開口一番、各方面から非難を浴びた行動をわびた。

「ファンの方々、プロ野球関係者の方々、そしてチームの方々に大変なご迷惑をおかけして、非常に深く反省しております」

外出自粛ムードが高まっていた3月14日、選手7人を含めて13人以上が集まった会食に参加。藤浪、伊藤隼、長坂と女性3人が新型コロナウイルスに感染した。球団から不要不急の外出自粛指令が出ていた中での行動に、甘さを指摘する声が相次いだ。

「まさか自分が、と…。自分の認識が甘かった。非常に軽率でした」

3月26日深夜に感染が判明し、翌27日に入院。4月7日の退院後も自宅待機が続いた。その間、緊急事態宣言で甲子園のある兵庫県が対象となった影響も加わり、チームは3月27日から4月14日まで活動を停止した。

「自分の陽性が発覚したことでチームの動きが止まってしまった。チームの皆さんの練習期間を奪ってしまって、すごく申し訳なく思っています」

チームはもちろん、球界全体に与えた影響の大きさをかみしめた。代表取材形式ながら公の場で応じるのは感染判明後初めて。約1カ月ぶりとなった肉声の大半は反省と謝罪で占められた。

この日は甲子園で自主練習参加者に謝罪する機会にも恵まれた。「申し訳ありませんでした」「しっかり野球で頑張れよ」。世界中がコロナ禍に苦しむ今、自分にできることは何か。プロ野球選手である限り、答えはおのずと絞られる。

入院中は隔離された自室のわずかなスペースにマットを敷き、体幹トレや腕立て伏せを継続。グラブを持ってシャドーピッチングも続けた。退院後はダンベルや投球用ネットを注文し、自宅で汗を流してきた。24日からは鳴尾浜で本格的な自主トレも再開する。

「たくさんの方々にご迷惑をおかけした。反省して、今後は野球のプレーで取り返すしかない。しっかりプレーで皆さんに恩返しできるように、一生懸命、野球を頑張っていきたい」。再出発。信頼回復への一本道を1歩1歩、丁寧に進み始める。【佐井陽介】