#野球場観戦を待ちわびるファンへ―。 6月19日に開幕したプロ野球。チームだけでなく、プロ野球支えるさまざまな人たちが、それぞれの思いで異例のシーズンを迎えている。「球場周辺の今」としてルポする。

開幕を1週間後に控えた週末。大阪市内の音楽スタジオに、オリックス私設応援団の団員有志約20人が続々と集結した。開幕に向けて、今季の応援歌やコールを収録するためだ。トランペットや太鼓を持ち込み、球場さながらの応援は2日間、計14時間に及び、育成まで含めた全選手分を演奏、収録した。

5月末から、今季の応援について話し合いを重ねてきた応援団と球団は、この音源を球団公式ホームページなどで公開することを決定。テレビ観戦の際、応援歌を聴き、歌いながら楽しんでもらおうと考えた。

開幕カードで公開された音源は一部にとどまったが、今後は順次、アップしていく方針という。私設応援団の構成団体のひとつ「大阪紅牛会」の谷口一雄会長(32)は「お客さんあっての応援ですが、こういう状況なので仕方ありません。当面はリモートで楽しんでほしい」と話す。

2003年(平15)、応援団に加入した谷口さんの本職は、地方公務員。例年なら、仕事をやりくりしながら、応援に駆けつける毎日だったはずだ。開幕が約3カ月延びて「寂しい」と思う半面、プラスに働いた面もあるという。団員それぞれが、新曲を制作し、古い応援歌を改めて楽譜に起こし、楽器の自主練習にも励んだ。谷口さんは「若手を中心に応援のスキルアップに時間をあてることができた。応援の強化期間と考えれば、悪いことばかりではありません」と話す。

19日から開幕3連戦では、本拠・京セラドーム大阪に応援団の横断幕も掲出した。「オリックスのファンは、他の人気球団と比べて多くはないが、開幕延期をいい機会ととらえて、さまざまな趣向で盛り上げていきたい」。【秋山惣一郎】