広島西川龍馬内野手(25)が7回、苦戦していた巨人戸郷の内角真っすぐを右翼席最上段へ今季1号を放った。

試合前のフォーム微調整が奏功し、今季初のマルチ安打も記録。開幕から連続安打は4試合に伸びた。守備では反省を口にしたものの、打撃面では日に日にその存在感が増している。

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振り抜いたバットを放り投げ、西川は一塁へ歩き出した。7回だ。6回まで2安打に抑えられていた巨人先発戸郷の内寄りの真っすぐに反応した。失投を思い切り振り抜いた打球は高々と舞い上がり、右翼席最上段へ。若き右腕をこの回途中降板に追い込む意地の1発が今季1号となった。

2打席目までは手を焼いた。1打席目はスライダーをひっかけて一ゴロ。2打席目は真っすぐにバットが空を切った。3打席目で浮いた球を逃さなかった。「来てくれないかなと思っていたところに来て、ミスショットせずに打てた」。定評のある高い技術を発揮した。

調整期間が延びたことで、オフのように肉体強化に努めた。体重は自己最大80キロを突破。増したパワーを生かすため、この日からフォームを微修正した。開幕カード3試合すべてで安打を記録しながらも、上半身に力が入っていたことでうまく力を伝えきれなかったと自己分析。上半身の力を抜き、打撃の基本ともいえる下半身主導の打撃を意識した。試合前の練習ではフリー打撃前に同組の鈴木誠とともにブルペンで打ち込み、今季初本塁打と今季初マルチ安打につなげた。

特大1号にも、笑顔は少ない。悔やまれるのが、5回の守備。2死一塁から北村の中堅越えの勝ち越し二塁打に、あと1歩届かなかった。「捕れましたね、あれは。一直線に追えば良かったけど、探りながら追ってしまった」。最短距離で追うことができず、巨人に決勝点を許した。

チームは開幕連勝から連敗で勝率5割となった。しかし、つながりを欠く打線の中で、中軸と期待する西川の好調は好材料。佐々岡監督は「あと1点というところなんだけど、いい形はつくれていますからね。1本出れば変わってくると思う」と悲観していない。日に日に存在感が増すバットマンが何より頼もしい。【前原淳】