ソフトバンクが打線爆発で連敗を脱出した。2点ビハインドで迎えた6回1死一、二塁で2番スタメンの今宮健太内野手(28)が逆転の3ラン。工藤監督の5試合すべて打順を変えた執念も実り、3ラン2発を含め3発で今季初2ケタとなる14安打で9得点と圧勝した。「満塁被弾デビュー」のドラフト3位・津森宥紀投手(22)は登板2試合目で、12球団新人最速のプロ初勝利を飾った。

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力強いスイングに、ソフトバンク打線の思いが凝縮されていた。チームメートの期待に応えた今宮が、軽快にダイヤモンドをまわった。今季初打点が初アーチとなり、チームに勝利をもたらした。ヒーローインタビューを受けた2番打者が胸を張った。

今宮 無観客のなか、チームの雰囲気が良くなかった。自分もチャンスで打ててなかったので良かった。

開幕5戦目にして初めて初回に得点を挙げ4点を先制したが、4回に逆転された。3連敗の重たいムードがさらに悪くなりかけていた。2点ビハインドの6回1死一、二塁。今宮の胸には熱い思いが流れていた。西武今井のカーブを捉えた打球は、大きな弧を描いて無人の左翼席で弾んだ。逆転の3ラン。昨年のクライマックスシリーズファイナル。西武を倒した第4戦で3発を放った男が得意のメットライフドームで貴重な“花火”を打ち上げた。

まさかの3連敗に終わった23日の試合直後、一塁側ベンチ奥のロッカーで選手だけのミーティングを行った。松田宣、今宮らが招集の声かけを行った。「負けると、なかなか流れを変えるのは難しい。より一層、チームがひとつにならないと勝てないと思った」。新型コロナの影響で「密」にはなれないが心は「密」になってこの日を迎えていた。

初回には6番に起用された上林が今季初アーチとなる3ラン。「前の打者が積極的にいっていたので自分も積極的にいった」と初球を右中間に運んだ。8回にもダメ押しの中前タイムリーを放ち、今宮に負けじと4打点を挙げた。開幕から5戦目。すべて打順を変えて臨んだ工藤監督の執念も実った。9回には甲斐の初アーチも飛び出し、栗原、上林、甲斐が猛打賞。今宮と長谷川がマルチ安打と、今季初の2ケタとなる14安打9得点で西武を沈めた。

工藤監督も「上林くんの1発も効いたし、今宮くんのホームランもチームを救ってくれた」と胸をなで下ろした。取材が終わると両手を広げて「セーフ」と、ひと言。西武相手の連敗阻止がどれほどの困難なことだったか。指揮官のしぐさがそれを物語っていた。【浦田由紀夫】

▽ソフトバンク甲斐(9回の1号ソロに)「打ったのはカットボールだと思う。追加点がほしい場面で、うまく打つことができた。最高の結果になってくれた」

▽ソフトバンク森(今季初セーブに)「少しピンチをつくってしまったが、チームの勝ちに貢献できてよかった。連敗を止めることもできたし、また明日からも頑張ります」

▽ソフトバンク石川(先発も4回途中6失点KO)「初回にすごくいい形で点を取ってもらったのに…。チームのみなさんに申し訳ない気持ちしかありません」