偉業は、今季最後の東京ドームで決める。巨人坂本勇人内野手(31)が1安打を放ち、通算2000安打へ王手をかけた。「やはり球場の雰囲気で感じるものはありました」。今季最多2万6649人のファンからの大きな拍手を全身で浴びた。

1999安打目は、プロ1年目から磨き上げた「前さばき」で刻んだ。3回1死一塁。ヤクルト小川のカットボールを左前にはじき返した。ポイントを前に置き、左手で拾うようにスイング。左利きを生かした巧みな技術を披露した。

昨季終了後、榎本喜八を超える史上最年少での2000安打が話題に上がった。「安打製造機」の異名の元祖とも言われるレジェンドとの比較。「当時とは試合数も違いますから」と前置きした上で「僕の中では、もっと前に打てたかもしれないなって思う部分もあります」と言った。

安打を何本積み上げても、その倍以上に反省を繰り返す日々を送る。「大量リードしてる時の最後の打席とか、逆もそう。もっと集中してたら打てたんじゃないかなと。あの1球、あの1打席というのはたくさんある」。かつて、イチロー氏も語ったことのある1打席の重みと相通じた。

王手をかけた3打席目から3打席連続凡退。最終打席直後のドームは、ため息の後、静まり返った。右打者では史上最年少、生え抜きでは球団初の本拠地達成は8日のヤクルト戦にかかる。「ファンの方が期待してくれているのは伝わってきますので、早く決められるように頑張ります」。歴史の扉を1本でこじ開ける。【久保賢吾】