日刊スポーツ評論家陣がリレー形式で提言する「V奪回のシナリオ」の最終回は、吉田義男氏(87)が来季3年契約の最終年を迎える矢野燿大監督(51)の覚悟を求めた。戦力把握の後れを取ったことが開幕ダッシュ失敗の要因と指摘。リーグ制覇の鍵として、指揮官の選手起用を挙げた。
◇ ◇ ◇
最終的に貯金7はよくやったと思います。でも非常に難しいペナントレースで開幕からつまずいたのは外国人の評価を含めて戦力の把握という点で後れをとった。
大山が「4番」で育ったと言いますが、開幕は控えでした。ずっと固定すべきと言い続けたが外野まで守った。その後で打ち出してやっと三塁に固定ができたんです。
今シーズンは近本、大山がチームを引っ張った。そこにサンズが絡んだんですね。わたしは監督というのは育てようとするその選手に懸けなあかんと思ってるんです。
サンズのスタートはファームでした。初1軍になった6月27日DeNA戦(横浜)の9回2死から飛び出した逆転3ランで乗っていったんです。開幕から起用していたら…というのは結果論ですかね。
そういう点では矢野監督の信念を押し通すという姿勢は、この2シーズンではまだ見えてこないと思ってるんです。順位は上がったけど「矢野野球とは?」の答えが見つからない。
打線のポイントは「3番」でしょう。マルテは買ってませんねん。だから右の新外国人を獲得すべきと思ってるほうです。投手もスアレスの去就によってリリーバーも必要になります。
センターラインでも二遊間の固定は絶対条件ですわ。梅野には安定感を求めたいですね。そこは厳しさがいるかもしれません。小幡のポジショニングも注目してます。
いまさらだが守備はあかんかったね。球際を教えないと。時代が違うなんていう人は勘違いしてるんでしょうな。今も昔も技術は一緒。やることたくさんありますよ。
ソフトバンクもよく打ったが、ディフェンスからは表に出ていないだれかが鍛えている印象を受けました。それも内川、今宮らの代わりが出てきての日本一だから価値があった。
勝つためのトレードも積極的にやっていい。タイプ、ポジションがダブっているところもありますからね。非情も情になるのは後で本人がわかることだと思いますよ。
スターが出てきてほしいね。早く佐藤(ドラフト1位)を見てみたい。矢野監督はこの男にクビを懸けるぐらいの覚悟で戦っていいんじゃないでしょうか。【取材・構成=寺尾博和編集委員】