緊急事態にも屈しなかった。ヤクルトは3月31日、西田明央捕手(28)と20代男性スタッフが、新型コロナウイルス陽性判定を受けたと発表した。球団独自の措置として、濃厚接触者が特定されるまで、スアレス、山野、山田、西浦、内川、青木を自宅待機としたため、西田に加えて、選手登録されていた山野以外の5選手を抹消。

主力が一気に抜け、前日のスタメンから野手5人の入れ替えを強いられたが、それでも試合には勝った。

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ヤクルトに激震が走った。新型コロナの陽性判定を受けた西田は30日のDeNA戦(横浜)で8番捕手で先発フル出場。普段と変わらずプレーしていた。30日に球団外のチーム関係者に陽性判定が出たため、監督コーチ、選手、スタッフ62人にPCR検査を実施し、陽性が判明した。NPBと専門家と検討し、活動は予定通り継続していく。

開幕直前の23日に定期的に行っていたPCR検査でスタッフ3人が陽性判定。球団関係者全員を対象に再度PCR検査を受け、24日に新たに1人が陽性判定。合計6人の感染者は、9日間で3度の徹底した検査を行ったことでわかった。

31日夜には、青木、内川が濃厚接触者に認定。4月13日まで自宅待機が決まった。一方で濃厚接触者ではなかったスアレス、山田、西浦は、特例2021により、10日を待たずに再昇格が可能。4月1日からチームに合流する。予告先発に挙げられた山野も登板できることになった。

高津監督は「こんなこともあっての野球だと思うし、こんなことあっての人生だと思う。つらいとき、ピンチのときにどうやって乗り越えるかということは、人間の大きさに関係してくることだと思う」と前を向いた。前日のスタメン野手のうち5人がいない緊急事態でも、残った選手たちが躍動した。山田の代わりに3番に入った塩見が先制打を含む3打点。1月に新型コロナに感染し、思うように野球ができない苦しみを知る村上は、5回に2ランを放つと、静かにこぶしを握った。先発高梨も、5回0/3を3失点と粘った。全員で勝利をつかみ取った。

幸いにも山田と西浦は1日でスタメン復帰予定。青木と内川の不在は痛いが、最悪の事態は免れた。指揮官は「一番つらいのはゲームに出られない選手だと思うので、選手の背中を押してやるだけ。明日も全力で戦いたい」と力強く話した。【湯本勝大】

▽ヤクルト高梨(先発して6回途中3失点で今季初勝利)「先制点を与えないように初回から全力でテンポ良く投げることを意識しました。味方の援護をもらうことができ、より攻めることができました」

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