倍返しだ! 阪神ドラフト1位の佐藤輝明内野手(22)が2試合連続の3三振に唇をかんだ。広島床田、栗林に仕事をさせてもらえず、4打数無安打。11三振は12球団最多ながら、これは破壊力あるスイングと背中合わせ。矢野監督は試練を味わう大型ルーキーに人気ドラマの名せりふばりに「やられたらやり返すしかない」とエールを送った。

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試練の夜にも、築き上げたスタイルは不変だった。佐藤輝が2試合連続で3三振。前夜から4打席連続となり、9回の最終打席も遊飛を打ち上げた。ただ、4打席とも見逃しストライクはなし。弱気にならず、立ち向かえる心があるから、矢野監督はこう背中を押した。「プロというのは、こういう世界なんで、やられたらやり返すしかないしね。そういう悔しさを持ってやってくれたら」。2日続けて取材対応のメンバーから外れたルーキーも同じ思いだろう。

佐藤輝を何が何でも抑える-。そんな叫びが聞こえてきそうな広島バッテリーの徹底マークだった。投じられた20球のうち、13球が内角。先発床田には直球、ツーシームで内を突かれ、最後は3打席とも変化球でひねられた。6回は2球目のファウル後にバットを交換すると、5球目136キロツーシームでへし折られた。「練習と試合は違うからね。試合では打たせないと思って投げてくるわけだし」。矢野監督の言葉がプロの厳しい戦いを物語った。

12球団ワーストの11三振、打率は1割5分8厘まで落ち、結果は厳しい数字が並ぶ。ただ、バットが空を切り続けても、スラッガーへの期待は変わらない。4回の初球。外角高め146キロをしばくと、左翼へ大飛球が飛んだ。ポール左へ飛び込みファウルとなったが、マツダスタジアムはどよめいた。空振りでも、ファウルでも、バットが折れてもフルスイング。それがバッテリーの恐怖心をあおる。北川打撃コーチは「結果はどうあれ、しっかり振ることがアイツにとって一番いい。その気持ちだけは折れさせないようにやらせていきたいなと。周りがカバーすればいいだけのことなんで」とそのスタイルを認めた。

開幕3連勝の後、2連敗。今季初の負け越しとなった。佐藤輝とともにチームも停滞気味ではある。そんな中、矢野監督がプロの壁にぶち当たる背番号8へ向けた前向きな言葉が活力になる。「悔しさを乗り越えて成長していくというのは、みんな通る道。もちろんコーチや俺たちもアドバイスするけど、本人がどう感じているかというのが大事になる」。怪物ルーキーならこの悔しさを倍返し、いや、1000倍でやり返してくれるはずだ。【中野椋】

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