セ・リーグ首位を快走する阪神にとって「ノーモア08年」が16年ぶり優勝を狙う教訓になる。12日の中日戦(甲子園)が雨天中止になり、日刊スポーツ評論家の中西清起氏(59)が今後を展望した。首位&貯金14の戦いぶりは08年序盤戦と重なる。同じ36試合消化時点で首位&貯金13だったが、シーズン終盤に失速して優勝を逃した。当時、1軍投手コーチだった中西氏は勝負どころを見据え、必勝継投を生かすリリーフ陣の重要性を強調した。【取材・構成=酒井俊作】

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中日戦が雨天中止になったが、阪神は今季最多の貯金14で首位を走る。交流戦まで残り10試合だが、中西氏は戦いぶりにうなずいた。

中西氏 十分に戦っているし、今までの戦いを続けていけばいい。あとは選手のコンディションだ。無理をさせないように気を配ることが大事になってくる。

開幕からの快進撃は08年のスタートダッシュとも重なり合う。36試合消化時点で貯金13の首位。7月には優勝マジックが点灯した。だが北京五輪を境に失速してV逸。当時、コーチだった中西氏は「あの時は五輪期間中も試合をしていた。今年の東京五輪期間中は中断して、違う点もある」と前置きしながら、08年当時の状況を思い起こした。

中西氏 私はいかにウィリアムス、藤川、久保田のJFKを疲弊しないようにするかを最優先に考えていた。勝ちパターンをいかに休ませるか。あの時は、あくまで印象だが優勝した05年のSHE(桟原、橋本健、江草)と違ってJFKにつなぐ投手が決まりきらなかった。昨季の阪神もそこを替えていったが、不安定だと勝ちパターンに負担がかかる。しわ寄せが来る。

08年終盤には、藤川が9連投、アッチソンが10連投の働きで踏ん張り、渡辺や江草らも奮闘したが月間のチーム防御率は次第に悪化。8月の3・92が9月は4点台に突入した。先発も崩れ、余裕のない試合運びになった。

当時の教訓をもとに、中西氏が指摘するのは7日DeNA戦(横浜)だ。同点に追いついた直後の7回に小林が4点を失い、小野と守屋も失点を重ねた。

中西氏 阪神は勝ちパターンがしっかりしている。岩崎、岩貞、スアレスをいかに使わずに勝てるか。小林や守屋、小野が自分たちの仕事をやっていかないといけない。馬場も含めて、彼らにはイニングをつぶしてもらわないといけない。4点差で勝ちパターンを温存しながら勝てる態勢をどう作るかが大事になる。

週末14日からは敵地で2位巨人と3連戦が待つ。初戦は新外国人アルカンタラの先発デビューが濃厚だ。

中西氏 映像で見た印象だが、腕で投げ下ろすアームっぽい投げ方だが、抜ける球がない。真っすぐもある程度、力を持っている。コントロールがいい。外角低めへの真っすぐや変化球、カットボールは非常にいいモノがある。試合数も増えてきて、貯金5つ稼いだガンケルが離脱した。アルカンタラがどれくらいの投球を示すか、注目したい。

◆08年阪神救援陣 開幕戦をJFKリレーで滑り出して快勝し、藤川は開幕の14試合で9セーブとフル回転した。だが、8月に久保田が月間防御率6・10と不振で2軍降格。北京五輪期間中は藤川が日本代表で離脱し、ウィリアムスが代役守護神を務めたが月間防御率7・84と不調で、夏場にJFK解体のしわ寄せが来た。05年優勝に貢献したSHEの橋本健が10試合登板にとどまり、桟原は1軍登板なし。渡辺と江草が奮闘し、阿部、能見らでやりくりした。

◆08年の阪神 開幕5連勝とスタートダッシュに成功し、独走態勢に入る。7月22日には、87試合目にして早くもマジック46が点灯。リーグ制覇は決定的と思われた。ところが主砲の新井が北京五輪中に腰を疲労骨折するなどし、後半戦に大失速。最後は巨人に優勝をさらわれた。最大13ゲーム差の逆転V逸は、セ・リーグ史上最大。岡田監督が引責辞任する事態となった。

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