首位阪神のドラフト1位佐藤輝明内野手(22)が後半戦を猛打賞で発進した。夏の甲子園大会が開催中で京セラドーム大阪での広島戦。佐藤輝は2回の第1打席で新人最多記録を更新する122三振を喫した後、全て2ストライクから3安打をマークした。試合には完敗して中断期間を挟んで3連敗。2位巨人に1ゲーム差に迫られた。対応力に磨きをかけたルーキーとともに正念場を乗り越える。

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主導権を握られても、今の佐藤輝なら対応できる。5回、大瀬良に2球で追い込まれてからだ。内角低めの139キロカットボールに、ボールの内側をさばくようにバットを出した。打球はスライス気味に流れ、中堅左のフェンス最上部へ直撃。特大二塁打で後半戦初安打をマークし「自分の打撃としてはいい感じでヒットが出た。しっかり振っていって、その中で結果を出すことが大事」とうなずいた。

7回には再び大瀬良から中堅右への中前打。9回無死一、二塁では左腕フランスアの外角直球に腕を伸ばし、意地の2点適時二塁打を左翼線へ飛ばした。いずれもカウント2-2と追い込まれてから。「食らいついてヒットが出ているんで、そこは良いこと」。第1打席では見逃しで122個目の三振を喫し新人最多記録を更新したが、のちの3打席は簡単に終わらなかった。

ルーキーが進化を示す今季6度目の猛打賞。矢野監督は「追い込まれてもああやってコンパクトに振ってヒットにしていくとか、それがもうちょっと甘くなればホームランにもなる。今日は追い込まれてからいい結果が出ていた」と評価した。対応力、粘り、選球眼。3安打には、着実にステップアップを重ねた証しが詰まっていた。

チームは5位広島に大敗。エキシビションマッチ最後の3試合で計1得点と湿っていた打線は、この日も爆発力を欠いた。指揮官は「常に絶好調ということはない。うちは誰か(1人)が打って勝てるチームじゃない。何とか全員が1個でもファウルを打つとか、四球を選ぶとか、そういうことが必要」と言った。

2位巨人が勝利し、4月28日以来の1差。仮に14日に阪神が負けて巨人が引き分け以上なら首位陥落となる。後半戦が幕開けし、いきなりの正念場を佐藤輝、そして打線の奮起で乗り切る。【中野椋】

▼佐藤輝の猛打賞は6度目。いずれも3安打だが、すべてが中堅から左への安打だったのは今回が初めてだ。

▼現在のペースなら年間の猛打賞は10度となる。新人の猛打賞プロ野球最多は58年長嶋茂雄(巨人)14度。球団記録は13度で、48年別当薫、16年高山俊、19年近本光司の3人。佐藤輝も続けるか。

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