首位攻防戦第2ラウンドで逆転負けを喫し、オリックス中嶋監督は試合後、しばらく動けなかった。一塁側ベンチに腰を下ろしたまま、1点を見つめていた。

同点の8回だった。1死から4番手の吉田凌がロッテ角中を左飛に打ち取った…はずだった。だが左翼のルーキー来田が、ライン際でまさかの落球。2アウト目を取り損ねた吉田凌はその後、中村奨に四球を与え、1死一、二塁からマーティンに右翼席中段まで届く決勝25号3ランを浴びた。

指揮官は18歳の外野手について「やってしまったんで、これだけは消せない。自分でどう思うか、はね返すしかない。やってもらいましょう」と、バットでのリベンジに期待した。

来田は4回、右中間スタンドへ、チーム初安打となる今季2号の先制ソロを放っていた。プロ1号は7月13日の日本ハム戦(釧路)で、高卒新人では史上初となる初打席初球本塁打を放った“大物ルーキー”。プロ2号は地元・神戸での首位決戦。「しっかりと芯で捉えることができましたし、先制点になってくれてよかったです!」と、大舞台でファンを沸かせる放物線を描いたが、喜びのあとに悲運が待っていた。

7日の第1ラウンドをサヨナラ勝利で飾り、首位に再浮上。ただ、この日の逆転負けで再び2位に転落した。今回は1日天下に終わったが、9日の同戦に勝てば、首位に返り咲く。残り36試合。25年ぶりの王座奪回へ、1日1日が決戦になる。【真柴健】