いよいよ「M」点灯へ!ロッテがソフトバンクに逆転勝利し、引き分けを挟んで今季2度目の6連勝を飾った。3回、7回と角中勝也外野手(34)が2本の適時打を放ち、6回以降は守護神益田直也投手(31)まで無失点でバトンをつないだ。貯金は昨季最多に並ぶ14となり、16日の結果次第で優勝マジック26が点灯する。1970年(昭45)以来、球団名がマリーンズになってからは初めての「M」として、これ以上ふさわしい数字はない。

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千葉ロッテマリーンズとしての初めての「M」が、もう目の前にある。取って、取られて、取り返して。昨季苦杯を喫したソフトバンクにも簡単に負けない強さをもって、いよいよカウントダウン開始が迫る。

16日に勝つか引き分け、2位オリックスが敗れれば、優勝マジック26が点灯する。実に運命的な数字だ。「ファンはベンチ入り25人に続く26人目の選手」として、05年に「ファンのための背番号」になった。そこから17年間、ベンチには背番号26のユニホームがずっと飾られている。

この夜も福岡に集まったファンの手拍子に押され、ロッテひと筋15年の男・角中が渋く光った。3回に152キロを引っ張り、7回にはスライダーを左中間へ。2本の適時打でまた1歩、夢に近づけた。

いずれも1ストライクからの球を狙った。首位打者を2度。2ストライク以降に低く構えて粘る独自スタイルは、球界では全国区になった。先日も20メートル先にいたオリックス・ジョーンズにモノマネされたばかり。「今年は1カ月くらいしか仕事してないので、終盤しんどいところで仕事できて良かったです」。巧みな打撃技術を示し、しゃべりも少しずつ乗ってきた。

独立リーグを経て、NPBに挑んだ。チームは日本一になったが、勝率1位でのリーグ優勝とは無縁だ。3位から日本一になった“下克上”の2010年も「その時、たぶん1カ月も1軍にいないんじゃないかな。優勝の瞬間もいないので。自分としては優勝してないので。浦和ではありますけど。浦和では日本一になりましたけど」。

2軍での優勝経験をしっかり強調しつつ「若い選手はどうか分かんないですけど、自分らからしたら、こういう時期にそういうゲームができるのは野球選手としてはありがたい」と感謝する。今は目の前の1球に集中するのみ。マジック点灯の可能性にも「まだそんな意識するとこじゃないと思いますけどね、個人的には」と素っ気ない。「もしかしたら緊張でガチガチになってる人もいるかもしれないですけど」。止まらぬ角中節、止まらぬ勢い。ロッテが走る。【金子真仁】

◆ロッテと「26」 05年からファンのための番号として、欠番になっている。同年の開幕前にバレンタイン監督が、ベンチ入り25選手に次いで、ファンが「26番目の選手」であるとして、空き番号になっていた26番を欠番にすると発表した。ベンチには26番のユニホームが飾られ、現在の球団ファンクラブの名称も「TEAM26」となっている。