阪神俊介(34)の引退のニュースに、広陵の2学年下の後輩だった巨人小林誠司捕手(32)の言葉を思い出した。中学時代は投手だった小林は、同校にも投手で入学。1年秋に捕手に転向し、3年夏の甲子園では正捕手で準優勝に輝いたが、エースへの夢は入学直後に揺らいだ。

「同期に野村がいて、1学年先輩に吉川光夫さんがいて、これはどえらいところに来たなと思ったのを覚えています」

入学当時、最速は128キロほど。「僕は全然、速くなかったです」と自身の記憶では野村祐輔(広島)はその時すでに130キロを超え、先輩左腕の吉川光夫(西武)は、うなるような剛速球を投げた。

「さらに、その上に…」と挙げたのが、2学年上の俊介の名前だった。「藤川さんは打っても、走ってもすごいし、投げても、普通に145キロとか投げてたんで、ほんまにえぐいなと思いましたね」。

俊介の近大進学から2年後、小林は同じ関西学生野球連盟に所属する同大に進学。「ほんまにすごかったです」と対戦相手として、俊介のプレーに脅威を感じた。俊介の阪神入団から4年後の14年、小林は日本生命を経て、巨人に入団した。小林にとって、俊介の背中はでっかく、憧れだった。【遊軍=久保賢吾】