シーズンを終え、ロッテ小野郁投手(25)は打ち明けた。「悔しかったです。そこが全て、今年の1年というか。シーズンの結果が、全てそこで決まったのかなと」。

4月9日、ZOZOマリンでの西武戦で山賊たちにのみ込まれた。先発二木の好投で7回まで4-1でリードし、8回を任された。開幕から12戦を終え、セットアッパーのハーマンが不調。小野の“昇格試験”がなされているようなマウンドが続いていた。

しかし。1番若林にフルカウントから四球を許すと、1死後に死球、四球、安打で2点を奪われ、6番の右打者愛斗に低め直球を右中間スタンドまで運ばれた。一挙5失点。顔が引きつっていた。

150キロ台中盤を超える直球に、鋭いスライダー。奪三振能力と四球のリスクが共存するような投球が、開幕後から続いていた。胸中を明かす。

「不安でしかなくて。自分の中でいつも通り投げられなかった。非常に、自分の中で気負い過ぎていたのかなと思います」

1回5失点では、さすがにすぐに信頼を取り戻すのは難しい。2軍調整後に再び1軍へ戻っても、しばらくブルペンにいるだけの時期が続くことがあった。

「悔しかったです。去年だったらここで僕が、本当だった僕が(マウンドへ)行っているのかなと思いながら。同級生の東妻だったり、他の投手が投げているのを見ながら、歯がゆいというか」

負け試合での登板も多かったものの、自己最多の48試合に投げた。尊敬する益田からもらったネクタイと時計をつけて、契約更改交渉に臨んだ。来季年俸は大きくアップ。「自分が思っているよりいい評価というか、期待してもらっている感じの評価でした」。

会見で、球団首脳から掛けられた言葉をたどった。「そんなにスムーズに結果が出るような選手はごく一部。つらい経験や苦しい経験を生かして、活躍している選手が多いから。今年の悔しい気持ちはいい経験だったと思う」と。

2年続けて40試合以上に投げた。あこがれの益田は4年続けて50試合以上に投げている。「この世界に入ってきてから、3年間というのが。3年間やって、やっと認められるじゃないですけど」と小野は思っている。楽天からロッテに移籍し来季で3年目でもある。確固たる信頼をつかみ取る。【金子真仁】