2022年のスター候補は君だ! 12球団の担当記者がブレークを予感する選手たちを紹介する恒例企画を、今年もお届けします。

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艶やかな肌に、大粒の汗が滴る。オリックス山崎颯一郎投手(23)が22年ブレークの筆頭候補に挙がる。16年ドラフト6位。プロ入り初の1軍マウンドを経験した昨季は、9試合に登板して2勝2敗で防御率は3・69をマークした。

シーズン後半からは先発ローテーションを守り、25年ぶりの優勝に貢献した。プロ初勝利は9月29日ロッテ戦(ZOZOマリン)だった。6回途中を2失点に抑え、6度目の先発登板で念願の白星を手にした。ロッテのマジック点灯を5度目の阻止。お立ち台でウイニングボールを披露すると、端正なマスクにえくぼが輝いた。

悪夢を乗り越えた。19年5月8日、2軍ソフトバンク戦(舞洲)。先発で4回2死を取った、次のタイミングで「投げた瞬間に『ブチッ』って右肘が鳴ったんです…」。その年の8月に右肘内側側副靱帯(じんたい)再建のためトミー・ジョン手術を受けた。待っていたのはリハビリ生活と育成契約。「絶対にはい上がってやろう」と、決して暗い顔は見せなかった。「ボールを持たないじゃないですか? だから、投げ方を忘れちゃって…」。本来の投球フォームを見失い、ゼロから作り上げた。

昨年11月24日の日本シリーズ第4戦にも先発登板を託され、5回1失点と試合をつくった。甘いフェースが地上波で放送され、一気に話題にもなった。

「真っすぐが1軍でもいけるぞと自信になった。(今季は)最初から最後までケガなく、先発ローテーションを守りたい」

沢村賞右腕の山本とともに「98年組」がチームをけん引する。【オリックス担当=真柴健】

【22年注目選手】連載まとめ

◆山崎颯一郎(やまざき・そういちろう)1998年(平10)6月15日生まれ、石川県出身。敦賀気比では2年夏と3年春に甲子園出場。16年ドラフト6位でオリックス入団。19年に右肘手術を受け、20年は育成契約。同年オフに支配下に復帰。今季は9試合に登板(先発8試合)し、2勝2敗、防御率3・69。日本シリーズでも先発した。190センチ、90キロ。右投げ右打ち。