中日が逆転勝ちで待望の貯金生活に突入した。0-1の8回に阿部の適時打で追い付き、なお1死一、三塁。石川昂弥内野手(20)が阪神2番手湯浅の131キロフォークに体を泳がされながらしぶとく左前に運んだ。

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真っすぐ待ちながら、見事に対応。「チャンスで打てていなかった。打てて良かった」。勝ち越しの決勝打となり、一塁を回ると渾身(こんしん)のガッツポーズを作った。「ここに立つのが夢だったので本当にうれしい」。本拠地バンテリンドームで初めてお立ち台に上がり、ファンに屈託のない笑顔を振りまいた。

ここ4試合ではプロ初を含む2本塁打、5安打3打点と上向いた。開幕からそれまでを「結果にこだわり過ぎていた」と振り返る。東邦の元野球部長、小嶋裕人氏も画面越しに笑顔をなくした石川昂を心配。5日ヤクルト戦(神宮)でのプロ1号を祝福するLINEにエールを込めた。「屈託のない笑顔を持ち続けなさい」。通算55本塁打を放った高校時代と同じような笑みが戻り、喜んだ。

本拠地での登場曲は時代劇「暴れん坊将軍」のオープニングテーマ。森野打撃コーチに薦められ「歌じゃないああいうのが好き。自分もいいと思う」とお気に入りだ。今季13試合目で初めて走者を置いて適時打を放ち、立浪監督に初の貯金1を届けた。チームは7勝のうち5度が逆転勝ち。さらに49得点のうち8回に17得点が集まる。逆転劇が板についてきた。その終盤の粘りを3年目の大砲候補が演出した。今後の課題は「チャンスに強くないといけない」。石川昂が「暴れる」シーズンはこれからが本番だ。【伊東大介】