巨人の新外国人マット・シューメーカー投手(35)が、あと1歩で大記録達成の快投を演じた。7回2死まで完全投球。中日A・マルティネスに初安打を許した後も動じず、2安打無四球で完投。来日初勝利を初完封で飾った。6回には初安打を放って決勝の本塁生還を果たすなど、元同僚のエンゼルス大谷さながら、投打で躍動した。今季のチーム初完投初完封となる助っ人右腕の活躍で2度目の6連勝を決め、貯金も11に伸ばした。

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心の中で分かっていても「完全」を口にする人はいない。巨人ナインに漂う緊張感。球場には期待が充満した。

7回2死。シューメーカーが投じた86球目はA・マルティネスにはじき返され、左翼線を転がった。初安打で場内にため息が漏れても、完全投球が途切れた右腕の集中力は途切れなかった。

7回が終わり戻ったベンチ。原監督に「I can」と続投を志願した。直後の8回は3者連続三振。9回にこの日2本目の安打を許すも122球を投げきり、8奪三振で0封した。

「ノーヒットは当然分かっていた。ただ、やることは一緒。ヒットを許した後も仕切り直して1人ずつ打ち取っていった」。先発投手の完封勝利は昨年4月16日の菅野以来。自身も16年のエンゼルス時代に記録して以来2度目の完封勝利に「選手冥利(みょうり)に尽きる」とかみしめた。

140キロ台の直球と、打者の手元で落ちる130キロ台のスプリットで的を絞らせない巧みな投球。18年、エンゼルスの開幕ローテを形成した大谷とも「スプリットに限らないが、どういう場面でどういう球種を使うか、いろいろな話をした」という。

この日の快投で、防御率も0・83と0点台に突入した。6回には日米初安打も記録し、2死満塁からの暴投で自ら決勝のホームを踏んだ。メジャー時代、顔を覆い尽くした自慢のひげをそり落とした顔が緩む。「このユニホームで勝てたことが光栄」。日本の伝統球団で確かな1歩を踏み出した。【三須一紀】

▽巨人桑田投手チーフコーチ(シューメーカーに)「直球、スライダー、スプリットと全てが3ボールからでも自信を持って投げられる。野球に取り組む姿勢も素晴らしいし、低めに集めるという基本を大事にしている選手ですね。本当にいい結果が出てうれしい。(9回続投は)中6日なんでね。135球以内であれば僕はいけると思っている」

▼シューメーカーが2安打完封で来日初勝利。巨人で外国人投手の完封勝利は、18年8月24日阪神戦のメルセデス以来、4年ぶり。今回のように来日初勝利を完封で記録した巨人の外国人投手は85年カムストック、96年ガルベスに次いで3人目になる。カムストックは来日2試合目の4月26日中日戦で1安打完封、ガルベスは来日2試合目の4月17日中日戦で5安打完封と、3人とも中日相手に来日初勝利を完封で飾った。

◆マット・シューメーカー 1986年9月27日、米ミシガン州生まれ。08年にエンゼルスとドラフト外で契約。13年初昇格。14年に16勝4敗、防御率3・04を記録しエ軍の新人勝利記録を更新。新人王投票2位。同年オフに日米野球で来日。ブルージェイズ、ツインズを経て昨季はツ軍とジャイアンツの傘下3Aでプレー。メジャー通算128試合で46勝41敗、防御率4・24。188センチ、102キロ。右投げ右打ち。