中日ダヤン・ビシエド内野手(33)が復調の兆しをみせた。阪神戦(バンテリンドーム)の初回に4試合、16打席ぶりの安打で先制点につなげ、同点の3回は決勝の適時二塁打を放った。

立浪監督の指導、家族の応援を力に変え、5月初のマルチ安打。1点差で逃げ切ったチームはカード勝ち越しを決めた。首位ヤクルトから4位中日まで2ゲーム差。混戦に乗じて首位争いに食い込む。

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1-1の3回2死一塁。ビシエドはウィルカーソンの121キロの緩いカーブに体を残して引っ張った。打球は左翼線に落ち、一走・三ツ俣の激走で勝ち越した。「あんなボールはうまく仕留められなかった。今日は自分がやりたいスイングが2打席目に出た」。二塁ベース上でガッツポーズし、天を仰いだ。これが決勝打となった。

前夜まで15打席凡退と不振を極めた。練習前に連日、立浪監督と腹を割って話し合った。「自分がいいときにやってきたことを思い出させてくれた。体を後ろに残して、力を入れずにリラックスしながら打つことを」。初回2死一塁で16打席ぶりの安打を中前に運んで先制点をお膳立て。「長いトンネルがあったが、ようやく抜けつつあるよ」。球団最多2480安打を放った指揮官へ感謝した。

5日のこどもの日には、長男ビシエドジュニア君(12)から、似顔絵をプレゼントされた。この日は、スタンドから家族が声援を送ってくれた。「絵も上手に描けていたね。今日は球場に見に来てくれたから打てた。明日も来てもらわないと」。来日7年目。支えてくれた家族の前で笑顔を取り戻した。

立浪監督も「いつもなら中前打も詰まっていた。ある程度、捉えることができている。あれぐらいの形で球を待てれば、長打も出てくる」と主砲の復調を感じ取った。本拠地でカード勝ち越しを決め、貯金は2。4位ながら首位ヤクルトと2ゲーム差に縮めた。「チームはいい感じで乗ってきている。今年の投手陣は素晴らしい。打者がもっと打って、投打がまとまって火をつけたい」。上向きのビシエドが上位争いに食い込むキーマンになる。【伊東大介】

○…6回から4投手が1回ずつ無失点リレーで1点差を守った。終盤4イニングで許した走者は8回の近本だけ。最後はR・マルティネスが最速159キロをマークして締めた。リーグ2位タイの8セーブ目を挙げた守護神は「たくさんのファンに、またいい試合が見たいと思ってもらえるように投げた」。今季チームは本拠地での阪神戦を無傷の5連勝とした。

○…松葉が5回4安打1失点で今季初勝利を挙げた。1点リードした直後の4回1死二、三塁は自慢の制球力で大山を三ゴロ、小野寺を空振り三振に仕留めた。前夜に大野雄が完全試合を逃したものの、10回完封勝利。お立ち台では「大野さんの素晴らしい投球を見て、もしかしてできるかなと思ったが全然無理でした」と今季最多3万6177人の観衆を笑わせた。屋外がやや苦手で6回に打たれる傾向から立浪監督が「5回、バンテリン」と限定起用し、左腕は防御率0.89の安定感で応えている。

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