阪神先発の才木浩人投手(23)が5回無失点で、19年5月1日広島戦(甲子園)以来1159日ぶりの白星を挙げた。

トミー・ジョン手術、育成契約での苦しいリハビリを乗り越えての1勝。試合後は涙のヒーローインタビューとなった。「本当に3年間リハビリで、手術もあって、とてもしんどかったんですけど…」と話し始めると、涙が止まらなかった。17秒後、「本当にずっと支えてくれていた人たちのおかげで、今、またここに戻ってくることができた。本当に感謝の気持ちしかないです」と、球団関係者だけでなく、リハビリ期間を支えてくれたトレーナーや理学療法士らにも感謝した。

2回には大山悠輔内野手(27)が通算100号となる19号2ラン、3回には中野拓夢内野手(26)が4号ソロと2発で3点を援護。試合中に球団を通じて出すコメントにどちらも「才木のために」とあったことを聞き「大山さんも中野さんも、ひそかに僕のことが好きだと思うんで、すごくうれしいです」と笑顔が弾けた。

左翼、三塁側で見守る多くの虎党に向かって「ファンのみなさん、すごく長い間、ずっと応援してくれていたファンの方もたくさんいるので、これからリハビリで休んでいた分、しっかり巻き返していきたいと思いますので、応援よろしくお願いします」とこれからのさらなる活躍を誓うと、敵地とは思えない大きな拍手に包まれた。

◆トミー・ジョン手術 損傷した肘の靱帯(じんたい)を切除し、他の部位から正常な腱(けん)を移植する手術。74年に故フランク・ジョーブ博士が、左肘の腱を断裂した通算288勝のトミー・ジョン投手に初めて施術したことから通称でこう呼ばれる。日本では、古くは村田兆治(ロッテ)桑田真澄(巨人)らも受けた。13年にはカブス藤川球児も受け、16年に阪神復帰後も活躍した。かつては最低2年とされていた治療期間も大幅に短縮。「球速が5~6キロ速くなった」と感じる投手も多い。米紙ワシントン・ポスト電子版によると、レンジャーズ在籍中のダルビッシュ有が15年に手術を受けたところ、球速がアップ。直球の平均が術前の14年には148~151・3キロだったのが、16年の復帰直後には155・6キロに向上。平均4・8キロも速くなったと伝えている。エンゼルス大谷翔平も18年10月に同手術を受け、21年に9勝を挙げた。

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