眠れる巨人を、キャプテンが“ふた振り”で目覚めさせた。巨人坂本勇人内野手(33)が75日ぶりの1発を皮切りに、昨年9月15日DeNA戦以来となる2打席連続アーチで3打点。再び同点となった8回に吉川尚輝内野手(27)が決勝適時二塁打を決めた。

負ければ4連敗で「3位転落&今季初の借金生活突入」の危機だったが、広島との打ち合いを制して回避。1日にして貯金を復活させた。

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坂本が久しぶりの放物線をゆっくりと見上げた。2点を追う6回先頭、広島ケムナの147キロ直球を豪快に振り切った。左中間席に運ぶ75日ぶりの4号ソロ。「なかなか出てなかったので。ホームランだけが野球じゃないですけど、もうちょい打たないとダメですね」と喜びをかみしめながらも、冷静に言った。

本来の姿を呼び覚ますかのように、次の打席も鮮やかに決めた。同点の7回2死一塁、矢崎のスライダーを左中間へ。2打席連発の勝ち越しの5号2ランとした。ダイヤモンドを1周しながら、チームメートにガッツポーズして喜びを共有。第2打席の左前打を含め、中日の立浪和義監督を抜く歴代7位の通算176度目の猛打賞と、東京五輪監督の稲葉篤紀氏を抜く、歴代23位の通算2169安打を記録した。

今季は40日の負傷離脱期間も含め、本塁打から74日間遠ざかった。101日本塁打が出なかった2年目の08年以来、14年ぶりの長さ。率を残せる打撃や守備、精神面でもチームを支えてきたが、試合前時点でシーズン半分を超える80試合を終えて3本塁打。14年連続2ケタ本塁打へ怪しかった雲行きを、ふた振りで一気に吹き飛ばした。原監督からも「まだ5本? 終わってみたら25本、30本ぐらい打ってるよ!」と笑顔で大きな期待を込められた。

首位ヤクルトにマジックが点灯し、背中は遠くにかすむが、じたばたすることはしない。「自分たちがやるべきことをしっかりやるしかないと思う。もちろん相手も大事ですけど、自分たちが良い野球をして勝っていくことが大事だと思う」。プロ16年目の主将が先頭に立ち、“キセキ”へと望みをつなぐ。【小早川宗一郎】

▽巨人大城(3点を追う5回先頭、12試合ぶりの4号ソロ) 先頭だったので、まずは出塁することを考えていました。甘く浮いてきたフォークをしっかりと捉えることが出来ました。

○…吉川尚輝内野手が決勝の適時二塁打で試合を決めた。2試合連続で1番で先発出場し、同点の8回2死二塁、広島森浦のカーブを捉えた。左中間への決勝打に、二塁ベース上でガッツポーズで感情をあらわに。「石川さんが先頭で出て、良い流れで回ってきた。何とかつなぐ気持ちで行きました。今日の勝利は本当に大きいと思います。まだまだあきらめずにやっていきたい」と前を向いた。

○…堀田賢慎投手が約2カ月ぶりの1軍登板も、4回途中3安打3失点と振るわなかった。3回までは最速149キロの直球で押し無安打投球も、4回1死から3連打で先制を許し、降板した。「立ち上がりはうまく入ることができたが、4回は悔しい内容になった」。原監督は「だいぶ良かったと思います。ただ、まだ若い投手ですから、良いイメージの中で投げることが正しい選択だと思いました」と説明した。

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