世界一を目指せ! 高校女子硬式野球の強豪・クラーク仙台(宮城)1期生の小野寺佳奈投手(20)が11月23日、東京ドームで行われた「ジャイアンツ・ファンフェスタ 2022 supported by DAZN」で、読売ジャイアンツ女子チームへの入団が発表された。18年創部の同校では、エースとして2度の全国準Vに貢献。卒業後はクラブチームのエイジェック(栃木県小山市)でプレーしていた。同校の渡辺崇部長(43)は「教え子のキャリアアップはうれしい」と大きな期待を寄せている。

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東北で最初に誕生した高校女子硬式野球部1期生の3年間を見届けた渡辺部長が、最速125キロを誇ったエース小野寺の活躍を楽しみにしている。卒業後の成長は、毎年夏に行う練習試合で感じていた。

渡辺部長 (高校では)打撃も良くて投打の柱になりましたが、投手だけに専念させたらもっと伸びたかなと、僕はちょっと後悔が残っている。エイジェックでは投手に専念し、練習試合で投げてくれましたが、手がつかなかったです。この2年間で球速よりもボールの質が上がりました。

「特別な世代」とも言える代で、チームの顔だった。中学時代は女子軟式野球クラブチームの宮城デイジーズで全国優勝を成し遂げ、地元のクラーク仙台へ。2年春の全国選抜と夏のユース大会では準優勝に輝いたが、3年春夏の全国大会は新型コロナで中止となった。「もし試合をしていたら自分たちが日本一を取れるという思いがあって(みんな)次のステップでも頑張っていると思う」。1期生の11人は現在も野球に携わっており、ジャイアンツのユニホームに袖を通す小野寺の存在は後輩たちにとって「いい目標になる」と目を細めた。

小野寺は同校2年でU-18女子日本代表に選出され、今年は「第3回BFA女子野球アジアカップ」(開催地・期間未定)の侍ジャパン女子代表候補に。近い将来に代表入りの可能性もあり、渡辺部長は「代表に入れば主軸になる投手になると思う」。教え子のさらなる進化を期待した。

渡辺部長 今のところ日本の女子野球は世界一ですから、世界一のピッチャーになってほしいです。まだ20歳。伸びる時期でしょうし、本人の姿勢は相変わらず前向きなので、球速を求めるなら130キロを目指して頑張ってほしいです!

小野寺は同校3年時、今後の目標に「日本代表のエース」を掲げ「もう1度、日本代表のユニホームを着て、エースとして世界一になりたい」と意気込んでいた。結果を残し続け、大舞台のマウンドに立つ。【相沢孔志】

◆小野寺佳奈(おのでら・かな)2002年(平14)5月12日生まれ、仙台市出身。松ケ浜小2年から七ケ浜パイレーツで野球を始める。七ケ浜中3年時に女子軟式野球クラブチームの宮城デイジーズで全国選手権優勝。クラーク仙台では2年の全国選抜、全国ユース準優勝。卒業後はエイジェックでプレーし、22年11月、読売ジャイアンツ女子チーム加入。159センチ。右投げ右打ち。

◆読売ジャイアンツ女子チーム 巨人が21年12月「23年初頭から女子硬式野球チームの活動を目指す」と発表し、1期生4選手が加入。22年11月に16選手が加入し、来季からチームとして本格的に始動。NPB球団では西武、阪神に次いで3球団目となる女子硬式野球チームの創設で、監督には宮本和知・球団社長付女子野球アドバイザーが就任。今後は全日本女子硬式野球クラブ連盟及び関東女子硬式野球連盟に所属し「ヴィーナスリーグ」など参加予定。