二刀流ルーキーが、本拠地エスコンフィールドでプロ初本塁打を放った。

日本ハムドラフト1位の矢沢宏太投手(22)が、ソフトバンク戦に「8番右翼」で先発。5回に今季被本塁打ゼロだった藤井の150キロ直球を右翼スタンド2階席まで運んだ。5月2日のイースタン・リーグ西武戦(カーミニーク)での投手デビューも決定。記念すべき初アーチを、新球場に詰め掛けたファンの前で描いてみせた。

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矢沢が特大のプロ初アーチを描いた。初本塁打は今季44打席目で放った。藤井の直球を完璧な当たりで右翼2階席まで運んだ。打った瞬間に「入ったなという感じ」と振り返った。

記念ボールは母香さんか、1週間前に誕生日だったという姉咲来さんのどちらかにプレゼントする予定だ。「お姉ちゃんからライン来て、誕生日プレゼント待ってると言われたので、お母さんがいらないと言ったらお姉ちゃんにあげたいと思います」。

同期の奈良間が18日のロッテ戦で12球団の新人第1号本塁打を放っていただけに、待望の1発だった。「もう少し早く打ちたかった。奈良間にも先を越されていたので」。ベンチに戻ると同期から祝福を受けた。「宮内さんからはクールにナイスバッティングと言ってもらった。奈良間にはうっとうしいくらいにナイバッチ、ナイバッチと言われました」と笑みを浮かべた。この日、母校の日体大が首都大学春季1部リーグ優勝を決めた。「強い日体大でいてほしい」と祝福。吉報が自身のメモリアル弾と重なったことに「すごく縁を感じる」と喜んだ。

「二刀流」として、投手のデビュー日は5月2日の西武との2軍戦に決まった。デーゲームの2軍戦で1イニングを投げた後、隣の球場のナイターで1軍の西武戦(ベルーナドーム)に野手として出場する予定。今季開幕1軍入りした矢沢は、ここまで野手として15試合に出場。試合前練習では、3連戦のカード最終日にブルペン入りする調整法で、投手としてのコンディションも上げてきた。

「毎カードでブルペンに入っているので、順調。あとはバッターが立った時にどうなるか、投げた時にしっかり確かめたい」。初本塁打の次は投手として結果を残して、“矢沢流”の完成を目指す。【石井翔太】

▽日体大・古城隆利監督(優勝を決めた試合後に報道陣から矢沢のプロ初本塁打の一報を聞き)「本当ですか。(いい1日ですね?)本当ですね。あとで連絡しておきます」

▽日本ハムの主なドラフト1位の初本塁打

◆糸井嘉男 08年6月27日オリックス戦(京セラドーム大阪)でオルティズから中越えの特大弾。投手から野手転向後、3年目でマークした。

◆陽岱鋼 入団3年目の08年4月29日ロッテ戦(千葉マリン)で成瀬のチェンジアップを左翼スタンドに運んだ。

◆中田翔 3年目の10年7月20日ロッテ戦(札幌ドーム)で大嶺祐の直球を左翼席へ。通算91打席目の1発だった。

◆大谷翔平 ルーキーイヤーの13年7月10日楽天戦(Kスタ宮城)、通算92打席目に永井から右翼スタンドに放った。

◆清宮幸太郎 1年目の18年5月9日オリックス戦(京セラドーム大阪)でディクソンのスライダーを右中間席へ。デビューから24打席目だった。

▽矢沢アラカルト

◆生まれ 2000年(平12)8月2日、東京都町田市

◆球歴 5歳から町田リトルで野球を始め、中学時代は町田シニアに所属。藤嶺藤沢高では1年夏からベンチ入りした。日体大では投手としては最速150キロ超の直球を投げ、打者としては首都大学春季リーグで打率3割5分をマークするなど、投打の二刀流で活躍した

◆開幕1軍 1日の楽天戦に「1番右翼」でプロ初出場し、第2打席で初安打を放った

◆登場曲 日体大時代も登場曲として球場で流れていた同姓の矢沢永吉の「止まらないHa~Ha」をプロ入り後も使用している

◆家族 母香さんと姉咲来さん。高校3年時の18年に指名漏れを経験。その2カ月後に父・明夫さんが亡くなった

◆特技 ピアノ

◆サイズ 173センチ、73キロ

◆投打 左投げ左打ち

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