西武宮川哲投手(27)がビクトリーロードを上がり「疲れたッス」と言って、報道陣に囲まれた。

「ファームで100球とか全然投げれてたんすけど、やっぱり全然違うなって思いました。毎回ランナー出して、ギリギリ粘れたのでよかったです」

疲れたッス-。今年、宮川の口からこのフレーズを聞いたのは3度目になる。

2月8日、春季キャンプでシート打撃に登板した。「疲れたッス」と笑った。相手打者の印象を聞くと「分かんないッス」とまた笑った。自分の球筋を確認するので精いっぱい。そんな話を添えてくれた。

その前日か数日前、キャンプ地の宮崎・日南市内の道ばたで見かけた。高橋光成投手(26)と一緒に自転車をこいでいた。2人で意気込んで、人気観光地の鵜戸神宮を目指していたらしい。「自分、けっこう神社とか好きで」。でも思ったより時間がかかった。「疲れたッス。きつかったッス。風が強くて進まなくて」。鵜戸神宮名物の「運玉」は、1個だけ輪に入ったという(高橋は2個)。

でも「疲れたッス」なんて口にしつつ、やるべき仕事はきっちりとこなすのがプロだ。セ首位の阪神打線を見事に5回まで1失点にまとめた。「やったろう!」と意気込み、見事にやってのけた。

昨季1年間、西武は11人が先発投手を務めた。今季は前夜の本田が8人目、この日の宮川が9人目だ。長いシーズン。首脳陣にも年間で12人前後は先発で起用したい狙いはあるようだ。リリーフで実績を積んできた宮川にも、新たな選択肢が生まれたかもしれない。 「言われたところでしっかり。(先発とリリーフ)両方行けるってなったら、多分それは武器だと思うので」

またしっかりチームに貢献し、心地よい疲れに包まれたい。【金子真仁】