百戦錬磨のベテラン左腕がダブル快挙だ! ソフトバンク和田毅投手(42)が、「日本生命セ・パ交流戦」の巨人戦に先発。42歳以上ではパ・リーグ初のシーズン4連勝を飾るとともに、交流戦最多タイの27勝目を手にした。5回2/3を4安打1失点、6奪三振の快投。チームの連敗を阻止し、7カード連続で初戦を取った。貯金「7」は今季最多タイ。チームを2位に再浮上させ、首位ロッテにゲーム差なしに迫った。
◇ ◇ ◇
「松坂世代」最後の現役戦士、和田はダブルの偉業にも自然体だった。巨人相手に6回途中86球で、4安打1失点、6奪三振。パ・リーグ史上初の42歳以上でのシーズン4連勝をマークし、ヤクルト石川の交流戦最多27勝に並んだ。「特には…。若い選手がこれからやっていけば抜かれていく数字」。ベテランらしく節目到達にも冷静だった。
初回が分岐点だった。無死から2連打を浴び、一、二塁に走者を置いた。3番秋広を迎えたが、顔色ひとつ変えない。2球で追い込むと、カウント2-2から最後は真ん中低めへの直球で投ゴロ併殺に。続く岡本和は外角攻めで3球三振。「最高の結果。運が良かったです」。ピンチを脱し、グラブをポンとたたいた。
2回以降も内外角へ丁寧に出し入れしながら、スッと伸び上がる140キロ台中盤の真っすぐで押した。2回はわずか4球で3者凡退。3回は2者連続三振など打者3人で仕留めた。4回に岡本和に許したソロの1失点のみで踏ん張った。前回2日の広島戦では、左手のひらに打球が直撃。2回途中で降板し、打撲の診断を受けた。中6日で臨んだ雪辱のマウンドで、先発の責務をきっちり果たした。
年々、すごみが増す熟練の投球術。日々の積み重ねを忘れず、進化を続けてきた。4回2死、岡本和に1発を打たれた場面。「やっぱ(岡本和は)ちげーなと。(甲斐)拓也のリード通りに投げていれば(結果は)違ったのかな」。カウント2-1から和田が首を横に振ってから投じたチェンジアップを完璧にとらえられた。「違う配球で自分は投げてみたかった。教訓じゃないですけど勉強なので」。飽くなき向上心があるからこそ、42歳にして最前線で戦い続けられている。
ベテラン左腕の快投劇で7カード連続で頭を取り、連敗を阻止した。藤本監督は「先に点をやらない投球をしてくれた」とほめたたえた。交流戦ではDeNAと広島の3チームが並ぶ首位タイをキープ。リーグでも2位に再浮上し、首位ロッテにもゲーム差なしに迫った。【佐藤究】
▼42歳3カ月の和田が4連勝となる5勝目。42歳以上でシーズン4連勝したのは、07年工藤(横浜)が44歳で4連勝、山本昌(中日)が43歳の08年に7連勝、45歳の10年に5連勝して以来、3人、4度目。パ・リーグの投手では初めてだ。
▼交流戦では通算27勝目。交流戦の通算勝利数で最多の石川(ヤクルト)に並んだ。交流戦で巨人から白星を挙げた40代投手は05、06年に各1勝の吉井(オリックス)に次いで17年ぶり2人目。吉井は06年6月14日に41歳1カ月で勝ったが、和田はそれを上回る42歳3カ月での勝利となった。