東京から中央道に乗り、長野・岡谷ジャンクションで名古屋方面へ向かう。その先にある伊那盆地は、私見ながら、高速道路としては国内屈指の見晴らしのように思う。

右には中央アルプスがそびえ、左には河岸段丘が。ワイルドな遠近感にあふれる伊那市と駒ケ根市の間に、長野県宮田(みやだ)村がある。西武水上由伸投手(25)の出身地だ。

近年では移住先としても人気が高く“住みたい田舎”とも言われる。水上本人は「びっくりするほどの田舎じゃないっすよ~。普通の田舎です。○○○みたいっす」と首都圏の地名を出しつつ笑う。

西から東に向かってなだらかに下る、河岸段丘の土地。よく走った。

「ちょうど走って1キロっていうコースが家の近くにあるので。敷地もいっぱいあったので。田舎だからいっぱい練習できたのはあると思いますね」

最初は県内の強豪私立へ進学しようと思っていた。「でも、その高校が当時、いろいろあって。どうしようってなって。中学の時の捕手が帝京三高に決まってたんすよ。じゃ僕も、って」。県境を越え、八ケ岳のふもとにある帝京三(山梨)で青春を過ごした。

昨オフに宮田村に戻った際は「将来は村長になりたい」と野望も語った。この日は「水上由伸投手のふるさと長野県宮田村ナイター」と銘打たれた。村からの日帰りバスツアーは定員120人が約1分で完売。村としても球場前の特設ブースなどでPRを実施。ウイスキーなどの酒類や菓子類、リンゴ、米などの特産品が販売された。入場者には特製うちわも配られ、ベルーナドームに訪れた人々がパタパタと使い続けた。

同じパ・リーグでは、ロッテでも佐々木朗希投手(21)の地元岩手・大船渡市や、中森俊介投手(21)の故郷の兵庫・丹波篠山市も本拠地ZOZOマリンで冠試合を行い、PRを行ってきた。プロ野球公式戦×街おこし、の機運が年々高まっている。【金子真仁】