巨人浅野翔吾外野手が強靱(きょうじん)な両太ももにグッと力を入れてかち上げた。

3点を追う5回無死二塁、広島森の内角低めカットボールをすくい上げた。打球は高々と舞い上がり、左翼の防球ネットまで運ぶ特大の1号2ラン。15年の岡本和以来となる高卒1年目でのプロ初アーチを決めた。プロ初打点となる12打席目での1発に「変化球に出されることなく、しっかりと残して芯でとらえることができました」と納得の一打を振り返った。

悠々とダイヤモンド1周。プロの舞台での初の光景をかみしめた。三塁ベースを回ると大盛り上がりのベンチを横目に思わず照れ笑いを浮かべた。ホームベースを踏むと、二塁から生還した中田翔に頭ポンポンで祝福。ベンチに戻ると、原監督やナインが待つハイタッチの列に満面の笑みを浮かべて飛び込んだ。岡本和や坂本と喜びを分かち合い、長野にはヘルメットを脱がされて、メモリアルアーチを盛大に祝われた。

試合前の特別講座が生きた。打撃練習前に坂本から約5分、打撃のアドバイスを聞いた。バットを手にスイング軌道を確認しながら、タイミングや間合いを助言された。坂本からは貫禄たっぷりの風貌から親しみを込めて「浅野のおっちゃん」と呼ばれる18歳が、坂本もなしえなかったルーキー弾で恩返しした。

チームにフレッシュな風を吹き込む。11日の1軍再昇格後は出場4試合連続安打。スタメン出場した3試合でいずれも安打を放っており、12打数4安打で打率3割3分3厘と存在感を放っている。1点を追う6回1死一、二塁、右腕栗林の場面で代打丸と交代でベンチに退いたが、スタメンの役割を果たした。プロ初安打からわずか1週間。“おっさんルーキー”が堂々たる活躍でスターダムを駆け上がる。【小早川宗一郎】