中日が、巨人を自由契約になった中田翔内野手(34)を獲得することが3日、決まった。

前日2日に都内で立浪和義監督(54)が同席して交渉し、2年総額6億円、日本ハム時代と同じ背番号「6」などの条件を提示。一夜明けて本人が「お世話になります」と即決回答を寄せた。2年連続最下位から巻き返すため、得点力アップの役者を手に入れた。(金額は推定)

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中日の速攻ラブコールに中田翔もクイック返礼で応えた。「お世話になります」。3日午前9時過ぎに加藤宏幸球団代表(65)に電話をかけ、入団の意思を丁寧に伝えた。

中田翔は出場機会を求め、巨人との3年契約を2年残して契約を解除し、NPBから1日に自由契約選手として公示された。中日は2日に立浪監督と加藤球団代表らが都内ホテルに出向き、昼食をとりながら入団交渉を行った。2年総額6億円、背番号6などを提示し、その熱意に中田翔は24時間待たずに決断した。

立浪監督は速攻交渉から一夜明け、愛知・豊田市で行われた講演会へ。すでに吉報を聞いており、報道陣に囲まれ表情を緩めた。

「ウチを選んでくれたのは、本当に喜ばしい。広い札幌ドームでもやっている。バンテリンドームも関係なくやってくれる。勝負強さもだが、存在感のある選手。チームの活性化も含めて若い選手にいい影響が出ると思う」

中日の本塁打と得点は12球団ワーストで、就任2年で球団初の2年連続最下位に甘んじた。打線は21歳の岡林、22歳の石川昂らへ世代交代を進める最中。ただビシエドの衰えもあって軸が不在だった。通算303本塁打、1062打点、打点王3度のベテラン強打者へ、期待の言葉が並んだ。

交渉の席に中田翔は今季117キロあった体重を110キロに絞って現れたという。指揮官は「久しぶりに会ったが、体調が良さそう。体重も少し落ちたと。準備はしてくれている」。13年WBCを侍ジャパンのコーチと選手として戦ってから10年。“教え子”の意欲を感じ取った。

今オフは代打の切り札として前巨人中島や、前ソフトバンク上林らを獲得。中田翔の加入で攻撃力に厚みは増した。「球団にも協力してもらい戦力も増えてきている。あとは自分がうまく機能させられるように考えてやっていきたい」。11年のリーグ優勝後、Bクラスが10度。暗黒時代からの脱却へ、指揮官の言葉に力がこもった。【伊東大介】

 

○…丸が中日入りを決断した中田翔へエールを送った。同世代であり、巨人では21年途中から共闘。「今季はお互いうまくいかないことも多かったが、野球への取り組み方、考え方、打席での姿勢など学ぶことも多かった。同年代のプレーヤーも少しずついなくなってきているので、何とか同い年で切磋琢磨(せっさたくま)し、チームは違いますが、いい刺激を受けてやれたら」と語った。

 

◆中田翔(なかた・しょう)1989年(平元)4月22日、広島市生まれ。大阪桐蔭では1、2年夏、3年春に甲子園出場。07年高校生ドラフト1巡目で日本ハム入団。21年8月、無償トレードで巨人移籍。今年8月6日広島戦で平成生まれ初の通算300本塁打。打点王3度、ベストナイン5度、ゴールデングラブ賞5度。13、17年WBC、15年プレミア12で日本代表。184センチ、107キロ。右投げ右打ち。今季推定年俸3億円。

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