元東北高監督の故若生正廣氏の教え子で構成された「正廣会」による野球教室が16日、仙台市内にある東北福祉仙台北リトルシニア室内練習場で行われた。初開催となる野球教室には西武嶋重宣打撃コーチや楽天雄平2軍打撃コーチら9人が指導者として参加。悪天のため室内練習場での開催となったが、午前は小学生3チーム、午後は中学生1チームを対象に行われた。

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22年シーズンより楽天打撃コーチに就任し、若生氏と3年間を過ごした仙台に帰ってきた雄平コーチ。さらに「正廣会」が立ち上がったことにより、仙台に対する思いが強くなったという。「アマチュア野球の発展の手助けが出来れば恩返しにもなるし、仙台に対する自分の思いにもつながるので今後もやっていきたい」。野球競技人口の減少が問題視される中、ボールを扱える環境の縮小や対面イベントの自粛などがさらに追い打ちをかけている。野球教室などを通して、野球と触れ合う機会づくりをはじめ、東北の野球レベル向上に尽力する意向だ。

若生氏の教えを引き継いでいく。宮城県仙台市出身の若生氏は93年に母校である東北高監督に就任。春5度、夏2度甲子園へと導き、03年にはダルビッシュ有投手(37=パドレス)を擁して甲子園準優勝を成し遂げた。21年7月に闘病の末に死去。「社会に出ても通用する人間を作る」という指導方針のもと、数々の歴史を刻んできた。雄平コーチは「(若生氏は)野球以外の人として在るべき姿を常にチームに言っていた。自分が選手の時はもちろん体にしみこんでいたが、指導する立場になって改めて感じた。これからも(若生氏の)良い教えを引き継いでいきたい」と誓った。来年以降はさらに規模を拡大する方針だ。野球史に名を刻んだ名将の熱い思いと教えはこれから先も語り継がれていく。