巨人小林誠司捕手(34)の先制犠飛がまぼろしとなった。

6回無死一、三塁、バットの先でとらえた打球は雨を切り裂き外野へ飛んでいった。三走・丸が悠々生還。ベンチでのハイタッチもつかの間、直後一気に強まった雨脚に中断がアナウンスされた。その30分後、暗雲立ち込めたまま5回雨天コールドでの引き分けが決定。6回の攻撃は記録されず、まぼろしとなった小林は「次、またチャンスがあれば頑張りたい」と気丈に言った。

再三のチャンスをモノにできず、ようやく手にした得点がまさに水に消えた。2回1死二塁から2者連続凡退。4回は1死満塁で、小林がスクイズを仕掛けるも失敗に終わっていた。5回も1死一、二塁で坂本、岡本和が続けて打ち取られた。5回までに9度の得点圏で安打が出ず、なんとか奪った1点だった。

甲子園、マツダと続いた敵地6連戦での残塁は53と決め手を欠いた。その間、3敗3分けで数字の上では4あった貯金が1になったが、阿部監督の捉え方は違う。「敵地の引き分けって勝ちに等しいと思う。3勝3敗だと思って帰ろうかなと思います。前向きに考えていこう」。勝てなかったのではなく、負けなかったと言い聞かせた。【栗田成芳】