巨人山崎伊織投手(25)が「地方の男」と化して連敗を3でストップし、首位阪神に肉薄した。

6年ぶりの茨城・ひたちなか開催で先発し、6回1/3 3安打無失点で、自身2勝目をつかみとった。各地で試合をこなすことが多い巨人の「火曜ローテ」は、地方球場での登板が宿命とあって、いまだ本拠地・東京ドームでの登板はない。持ち合わせた鈍感力を発揮して昨季から地方球場3連勝。チームに7試合ぶりの勝利をもたらし、虎の背中に急接近した。

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当然とばかりに、ひたちなかに降り注ぐ雨も、軟らかいマウンドも、モノともしない。山崎伊がホーム開催の地方球場で躍動した。3回まで9者連続凡打に打ち取る完全投球。「真っすぐの力感がなく、ビュッと投げられたのがすごい良かった。後半ちょっとかみ合わなくなって、ちょっと力んだ部分もあったんですけど、あの感覚はよかった」。今季一番の手応えが右手に残っていた。

登板に際し、自ら掲げた「先頭バッターを出さない、長打打たれない、カウント悪くしない」の3カ条を遂行。4回に入り、先頭を出しても連打は許さず、7回1死一、二塁とされたところで降板を告げられたが、マウンドでは阿部監督から「ナイスピッチ!」と激励を受けた。その表情が悔しさに満ちていたのも、カード頭を託される責任感の表れでもあった。

巨人における“火曜日の男”にとって、地方球場は宿命ともいえるくらい巡ってくるが、まったく意に介さない。「東京ドームと違って軟らかいマウンドだけど、投げにくさとかはなかったですし、普通に。そんなに」と、どこ吹く風。今季4試合先発しながらも、いまだ本拠地での登板がなく、9日ヤクルト戦の鹿児島に続く2度目の地方だった。通算でも5試合投げて30回7失点、防御率2・10で地方3連勝という数字が、その強さを物語る。

自宅ではパレットに10色の絵の具と、数種類の筆を操り、油絵を描く芸術肌の持ち主。開幕前には、後輩の田中からリクエストを受け「緑が好きっていうんで、緑の色を使いながら」とプレゼントした。「そんなたいしたもんじゃないです。もう今年は描いてる暇がないくらい野球を頑張りたい」と臨んだシーズンを、無傷の2連勝で9連戦初戦に勝利をもたらした。

前週は3分け3敗。7試合ぶりの勝利で首位阪神に0・5ゲーム差と肉薄した。このままいけば火曜日は5月富山、6月新潟、7月長野と続く地方行脚。それでも、ひたちなかのお立ち台で「すごいええ場所だなと思いながら投げてました」という山崎伊がまた、ひょうひょうと投げ勝つに違いない。【栗田成芳】

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