霧雨の仙台に「神川畑様」が降臨だ。途中出場した日本ハム上川畑大悟内野手(27)が延長12回2死二、三塁で決勝の左前適時打を放った。先行しても追いつかれて延長戦に持ち込まれた総力戦で、勝負強さが売りの伏兵が最後に大仕事を果たした。チームは6カード連続初戦白星と強い戦いぶりで、1分けを挟んで今季初の5連勝。貯金も今季最多の4となった。

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打席に「神川畑様」が降臨した瞬間、霧雨が少しだけ止み、視界が晴れていた。3-3の延長12回2死二、三塁。「絶対に打つんだ」と心に決めた上川畑が勝負強さを発揮した。狙いは楽天西垣の決め球だった。「フォークを2球空振りして終わったと思いましたけど、最後は浮いてきてくれた」。カウント2-2から少し甘く入ったフォークを逃さず、決勝の左前適時打を放った。

一塁塁上では力強いガッツポーズを繰り出した。「久しぶりにああいう場面で打席に立たせてもらった。なんとか期待に応えたいと思った」。2月末に左大腿(だいたい)部筋膜炎で離脱し、開幕は2軍で迎えた。1軍昇格は12日オリックス戦からで、試合前まで14打数2安打。この日もスタメンから外れていたが、巡ってきたチャンスで鬱憤(うっぷん)を晴らす大仕事を果たした。

新庄監督の就任とともにプロ野球人生を歩むプロ3年目。過去2年間の戦いぶりも知るからこそ、感じることがある。「僕が(1軍に)上がってきてからは、もうすごい、去年はなかったチームの雰囲気がありますし、1つの勝利に向かって全員で動いている感じを肌ですごく感じる。すごくいい雰囲気だなと思います」。試合の流れが悪くても、どこか抗える空気感を実感している。

この日は、そんな強さを感じるチームを勝利に導く主役に躍り出た。「(ケガで)遅れた分、巻き返したいですし。でも、現状はレギュラーとして出られていないので、しっかり1打席、守備も1イニング1イニングしっかり全力でやっていきたいなと思います」。高い守備力にチャンスで強い、攻守で流れを変えられる「神川畑様」が何度も降臨すれば、このチームの勢いは簡単に終わらない。【木下大輔】

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