ソフトバンクのリバン・モイネロ投手(29)は連覇の原動力になった。12勝3敗、防御率1・46の成績で有原、大関、上沢とともに2桁勝利カルテットを形成。沢村賞の選考基準全7項目のうち3項目をクリアしており、シーズンMVPの有力候補に挙がる。育成契約で17年に加入し、リュックサック1個で来日した男が大車輪の働きでジャパニーズドリームをつかんだ。
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連覇はモイネロ抜きには語れない。開幕から無傷の7連勝。単独最下位だった春先も、ひとり気を吐いてチームに白星を呼んできた。先発転向2年目。小久保監督が「先発して大正解」とうなずく活躍を見せた。
特に宿敵日本ハム戦には先発陣で断トツ、8試合に先発した。強力打線に4勝1敗、防御率1・87。8試合のうち6試合はエース伊藤大海が相手で「あっちが0を取ったら自分も0にしなきゃいけない。先に点を取られないように、0を長く並べられるように」と意識していたライバルだ。8月10日に1-0の完封勝利劇。伊藤も完投で応えた。両者の至高の投げ合いはプロ野球ファンを何度も沸かせてきた。
モイネロは17年5月に育成選手として来日した。当時21歳だった男は、リュックサック1個で日本にやってきた。中身はグラブやスパイクなど最低限の野球道具のみ。球団幹部が「なぜキャリーケースじゃないの?」と聞くと「物は日本で活躍して買えばいいと思っているから」と答えた。「こんな選手がいるのかと思ったね」と同幹部は今でも忘れない思い出だ。わずか1カ月で支配下登録され、今ではホークスに必要不可欠な存在に成長した。
レギュラーシーズンMVPの有力候補にあがる。沢村賞の選考基準全7項目のうち、奪三振、防御率をクリア。クオリティースタート(QS=6回以上、自責3以下)も19度で同賞受賞も視野に入る。愛される左腕がジャパニーズドリームをつかんだ。【只松憲】
◆リバン・モイネロ 1995年12月8日生まれ、キューバ出身。エイデデピナールデルリオ高、キューバリーグを経て17年5月に育成選手としてソフトバンク加入。同年6月に支配下登録を勝ち取った。20年に最優秀中継ぎ投手賞を受賞。24年には先発転向1年目で最優秀防御率のタイトルを獲得した。1軍通算355試合に登板し、42勝17敗、135ホールド、40セーブ、防御率1・80。今季が4年契約1年目で推定年俸は10億円。178センチ、69キロ。左投げ左打ち。



