◆小久保球場来た

 左かかと打撲で2軍調整中のソフトバンク小久保は感謝の言葉を重ねた。王監督就任1年前の94年に入団。「監督が来られてほぼ同時にプロ野球人生がスタートした。一緒にやらせてもらったことを感謝している」。1年目のオフ、ハワイでのウインターリーグに出場していた小久保のもとをダイエーの監督就任が決まった王監督が視察。逆風の中で放った特大の本塁打で素質を認められ、95年からのレギュラー定着につながった。「この世界でここまで育てられたことに感謝している」。ホークスに復帰したここ2年で1500安打と350本塁打を達成したが、その礎は王監督の指導抜きで語れない。この日は福岡ヤフードームに駆けつけ、私服姿で試合前ミーティングに加わった。

 ◆和田言葉出ない

 突然の王監督辞任の発表に、ソフトバンク和田は「言葉が出ないというか…。思い出?

 全部残っています」と言葉につまった。残り登板は2試合が予定されている。今季はここまで8勝と、入団から続く連続2ケタ勝利に後がない状況。「監督にいい姿を見てもらえるようにがんばりたいです」と気を引き締めた。

 ◆馬原「誇りです」

 王政権下で守護神としての立場を確立したソフトバンク馬原は「偉大な人の下でやれたのは誇りです。監督の力を背に受けて投げてきたつもり」と振り返った。チームは5連敗となったが、CS進出の可能性もわずかに残されている。「可能性がある限り全力で戦います」と最後まであきらめることはない。

 ◆川崎残念としか

 ホークスとWBCで王監督とともに優勝を果たしたソフトバンク川崎は「残念としか言いようがない」と言葉を失った。左足甲骨折で2軍調整中だが、この日の試合前ミーティングに急きょ呼ばれた。王監督との思い出を問われると「ユニホームを脱いだ、グラウンド外でのファンの接し方」と、プレー以前の野球人としての姿勢を口にした。指揮官の熱意を受け継ぎ、今後もグラウンド内外でファンを喜ばせるつもりだ。

 ◆多村申し訳ない

 昨年トレードで加入したソフトバンク多村も、恩師王監督の辞任に複雑な表情を見せた。「戦力として呼んでもらったのに貢献できなかった。一番いい形で勇退してもらうためにみんながんばってきたのに、それが難しくなったということが申し訳ないです」。移籍1年目の昨季は、プロ13年目で初めて1年間を1軍で戦った。「登録抹消もなくできたのは、監督がハッパをかけてくれたおかげ。感謝しています」と振り返っていた。

 ◆杉内「泣きそう」

 ソフトバンク杉内の魂のこもった投球も勝利には結びつかなかった。試合前に王監督の辞任を聞き「ビックリした。泣きそうだった」という先発杉内が、2本のホームランを浴びながらも8回147球の力投を見せた。一緒に戦った7年間を背負ってのマウンド。結果的に5失点(自責4)で7敗目を喫し、「勝ちたかったんだけどな…」と悔しさをにじませた。

 ◆松田「全部勉強」

 3年目のソフトバンク松田も王監督の辞任に驚いた。「聞いてなかったのでビックリした。まだ一緒にやりたい?

 そういう気持ちはあります」と神妙な面持ちだった。辞任会見では、中西、小斉とともに名前を挙げられ、中軸打者としての成長を期待された。「全部が勉強になりました。明日(24日)からも1打席1打席を大事にしたい。いい打球を打てば喜んでもらえると思いますから」と気を引き締めた。

 ◆小斉「頑張ろうと思った」

 ソフトバンク小斉が節目の一戦で、完封負けを阻止する1発を放った。ゼロ行進を続けていた9回無死一塁から代打で起用され、右翼席上段へ2号2ランをかけた。前夜(22日)は怠慢な走塁ミスで途中交代。汚名返上も「勝ちにつながらなかったんで。昨日のこともあるし」と笑顔はなかった。育成枠入団ながら王監督らに見初められて成り上がった苦労人。13日に1軍再昇格して結果を出し「2軍にいた時も(報道などで)間接的に褒めてもらい、頑張ろうと思っていた」と指揮官に感謝していた。

 ◆ソフトバンク新垣(王監督の辞任に)「入ったときから監督と一緒にやってきましたからね…。僕らとしては、最後までできる限りのことを全力でやっていくしかない」。

 ◆ソフトバンク森脇内野守備走塁コーチ(王監督が胃全摘手術、入院した際は監督代行を務め)「とんでもないくらい責任感が強い人。会見で『ほっとした』という言葉があったけど、この1年の中で、私個人としては一番安堵(あんど)の表情に見えた。14年間接してきて、いただいた言葉も含めて、これほど財産になったものはない。感謝の気持ちでいっぱいです」。

 ◆ソフトバンク杉本投手コーチ(王監督辞任に)「残念です。こういう形にさせたのは僕たちにも責任がある。思うような結果を出せず申し訳ない。自分が預かっているポジションとして反省している」

 ◆ソフトバンク本間(王監督と同じ95年入団)「自分が変わらなきゃというタイミングで(王監督が)バットを短く持つきっかけをくれ、決断した。あの時、自分に変なプライドがあったなら、この世界にはいなかったと思う」。

 ◆ソフトバンク篠原(99年の初優勝時から中継ぎで貢献)「手術をされてしんどい時もあったけど、ベンチで勇気づけてくれた。何とか胴上げで恩返しをしたかった。残り試合を全部勝つつもりでやるしかない」。