夢の200発打線はド迫力だ。阪神城島健司捕手(33)が沖縄・宜野座キャンプ第2クール初日の6日、初めて屋外で打撃練習を披露した。同じく初めて屋外フリー打撃を行った金本知憲外野手(41)と並んでの“ホームラン競争”は圧巻。107振したロングティーでは軽々と49本の柵越えを記録。日本一に輝いた85年以来の200発打線誕生へ期待がふくらんだ。ブルペンでは自身も肩作りのために57球のブルペン投球を実施。打って、投げて、まさにエンジン全開だ。

 城島が金本のとなりで何度も左中間に放物線を描いた。鳥谷敬内野手(28)や新井貴浩内野手(33)も城島に負けじと、鋭く大きな当たりを連発。城島はロングティー、金本らはフリー打撃と打球の違いこそあれ、真昼の花火大会は豪華な競演となった。城島の屋外初打ちにより、真弓監督が85年の200発打線に「ひけを取らない」と豪語する主役たちがメーン球場に勢ぞろいした。

 「今は緩い球をしっかり打つこと。その打球の質が一番大事。力が伝わってるか、切れないか、落ちないかを確認したかったんだ」

 ロングティーは下半身の完成度を確認すべく、ダイエー時代から行う恒例行事だ。打席とほぼ同じ位置から、緩いボールを客席まで運ぶのはプロでも至難の業。だが107振で6連発を含む、驚異の49本デビュー。和田打撃コーチは「あそこまで飛ばせるのはしっかり下を使えてるから」とうなった。この男が6番候補で、ブラゼルやマートンもいる。85年日本一以来の破壊力満点の200発打線が完成しそうだ。

 フリー打撃も、一日前倒しの飛び入りで初参加した。こちらは51振でなんと柵越え0だ。引っ張った打球は数本で、大半が右狙いや故意のファウル打ち。異質に見えるほどポイントの確認作業に没頭した。「ひどいね。前に飛ばんもん。何球ガシャーンってネットに当ててた?」。半分自虐的に話すとすぐ真顔。「ガンガン引っ張って、『オー、スゲー!』なんて言われるよりいい」。こちらも超異例の調整スタイルだ。

 規格外の強肩も初披露した。ブルペンで初めて守護神藤川の球を受けた後、何とマウンドに上がった。大きく振りかぶったダイナミックなフォーム。推定140キロ超、重そうな真っすぐがミットをたたいた。「どう?

 使える?」「でもタイガースにはいっぱい投手がおるんよ」。ファン相手の乗り突っ込みも全開。「曲がらねえ」「もう一丁!」。カーブ、カットボール、シュート、チェンジアップの変化球まで披露。「どんなもんじゃい!」。57球のワンマンショーに大きな拍手が起こった。

 「遠投やブルペンは大事。大きく投げとかないと、肩が弱くなるし(試合で)本来のボールがいかない。ブルペンにはシーズン中も1週間に1回は入るよ」

 ノックでは初めて捕手の守備位置に入るなど、最後の1ピースが入って守りも引き締まった。打って全開、投げて全開、取って全開。核となる男が本気モードに突入した。

 [2010年2月7日11時25分

 紙面から]ソーシャルブックマーク